2024年11月21日( 木 )

独裁者3代目キム・ジョンウンの命運:迫りくる火山大噴火の予兆(後)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、4月7日付の記事を紹介する。


 韓国気象庁では「白頭山火山先制的対応総合対策」を発表。人工衛星「千里眼」などをフル稼働させ、監視態勢を強めている。噴火となれば周辺国の中で最大の被害が想定される中国では、当然のことながら、危機対応が最も進んでいる模様である。白頭山の中国側に設置された観測機器の測定結果からは、「2002年から2009年の間に、白頭山の地表は12.8センチ上昇した」ことが読み取れる。
 言うまでもなく、最も危機感や警戒心を高めているのは北朝鮮である。故金正日総書記の指令の下、北朝鮮の火山研究所では7か所に火山観測所を設置し、監視活動を強化している。02年に中国東北地域で大きな地震が発生したが、その時以来、白頭山での地震発生回数は5倍に増加しているという。同研究所の金所長によれば、「1997年以降、マグマが地表面へ大きく上昇していることが確認された」とのこと。

 こうした情報を総合すれば、白頭山がすでに火山性エネルギーで満たされていることは明らかである。問題は、次なる大噴火がいつ起こるか、ということである。そのため、北朝鮮は英国ケンブリッジ大学の地震、火山学者の協力を得て、白頭山周辺での調査、研究を進めている。こうした共同作業を北朝鮮は「科学外交」と称しているようだ。
 確かに、ケンブリッジ大学のラコビーノ博士をはじめ、オッペンハイマー博士やロンドン王立大学のハモンド博士らが2011年以来、3度にわたる現地調査を行い、噴火予知につながるデータを収集、分析中である。オッペンハイマー博士曰く「白頭山の噴火は核兵器100万発の爆発に匹敵する」。
 とはいえ、北朝鮮では中国同様に一般市民の間で、「天変地異は時の政権に対する天意の表れ」といった見方も根強い。要は、民心を失った政治を行っている政権を覆すために天の意思で巨大な地震や火山の噴火が起こされているというわけだ。こうした民間信仰があるため、北朝鮮政府としては是が非でも火山噴火の被害を最小に抑え込まねばならないのである。
 いずれにせよ、過去の噴火においては噴煙が29キロ上空にまで噴き上げられ、周辺国はもとより日本にも大量の火山灰を降り注いだことが記録されている。前述の谷口教授によれば、「噴火となれば、北朝鮮や中国の情勢は激変するだろう。また、日本、韓国、ロシアなど周辺国にも大きな影響が及ぶことは間違いない」。カリフォルニア大学のジル教授は中国サイドから白頭山の調査を行っている火山学者であるが、「白頭山が再度、大噴火を起こせば、中国、韓国、日本の経済は大打撃を被るだろう」と言う。要は、北朝鮮だけの問題ではなく、北東アジア全体に関わる「避けがたい」問題なのである。

 実は、北朝鮮が繰り返す地下核実験が白頭山の火山活動を誘発しているとの指摘もなされている。前回の核実験の際には、韓国では「火山噴火につながる」との報道が相次いだ。というのも、北朝鮮の地下核実験施設は白頭山から70キロしか離れていないからだ。韓国のみならず中国も神経を尖らせているのもうなずけよう。そのため、すでに中国地震局は白頭山周辺に観測網を整備しており、その上で、「日本、北朝鮮との協力関係を構築したい」との申し出を行っている。日本としても国際的な緊急事態対応を講じる必要があるだろう。
 なぜなら、白頭山の北西100キロには中国の赤松原発(建設中)があり、万が一、この原発が火山噴火の影響を受ければ、福島原発事故を上回る史上最悪の原発事故へ発展する可能性も生じる恐れがあるからだ。
 この白頭山は北朝鮮にとっては金王朝の聖地である。金日成が生まれた場所とも言われる上に、抗日ゲリラ戦の舞台となったと宣伝されているからだ。一方、中国にとっても景色の雄大さと美しさで一大観光資源となっている。連日、3万人もの観光客が押し寄せているほどで、富士山より集客力は大きいのである。

※続きは4月7日のメルマガ版「世界最新トレンドとビジネスチャンス」第60回「独裁者3代目キム・ジョンウンの命運:迫りくる火山大噴火の予兆(後編)」で。


著者:浜田和幸
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