時代をひらく女性たち~(株)ダナエー 内田登代紀氏(後)
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政府が成長戦略の1つに掲げる『女性の活躍促進』。しかし、今もなお女性の社会進出に立ちはだかる問題が山積みになっているのは周知の事実だ。それでも、多くの試練を乗り越え、社会に貢献する女性は大勢いる。信念を持ち、働く女性の姿は輝いている。女性経営者シリーズ「時代をひらく女性たち」では、分野を問わずさまざまな業界で活躍している女性にスポットを当てる。
第5回目は、布ナプキン「うふふわ。」の製造・販売を行う(株)ダナエーの代表取締役社長内田登代紀氏。(前編はコチラ)
女の子の密かな楽しみを届けたい
――布ナプキンを使うと、どのような効果があるのでしょうか?
内田 正直なところ、布ナプキンを使えば「生理痛がなくなる」、「月経周期を整える」というような効能があるとは断言できません。もちろん、そういったお声をたくさんいただきますが、布ナプキンの一番の目的は自然に近い状態で、ストレスフリーに過ごしていただくことなんです。
それともう一つ良い点は、月経血をコントロールできるようになる方が多いこと。みなさんは、初めて市販のナプキンを付けたときのことを覚えていますか?ごわごわして違和感がありませんでしたか?私たちはいつの間にかその違和感に慣れてしまっています。それは、本来デリケートであるはずの肌が、長期に渡って与えられる刺激に慣れてしまった状態なんですね。
布ナプキンを使用すると、それまで鈍感になっていた皮膚の感覚がよみがえるため、濡れたことを素肌で感じられるようになります。すると、「あっ、しまったな」と思うんですが、その気づきを繰り返すことによって、下半身の神経が研ぎ澄まされ、骨盤底筋も鍛えられて、徐々に経血のコントロールができるようになる方がたくさんいます。ちなみにこれは尿漏れにも同じことが言えます。
――なるほど。普段、眠ってしまっている感覚を呼び戻すきっかけとなるんですね。「うふふわ。」を生理用品の1つとしてではなく、自身の楽しみの一環として使われている方も多いと聞きました。
内田 そうなんです!「うふふわ。」自体、とてもふわふわで本当に肌触りが良いものなので、たとえば外出中は紙ナプキンじゃないと不安だという方でも、家では「うふふわ。」を付けてゆったりとリラックスタイムを過ごしていただいたり……、とにかく自由に使ってもらいたいと思っています。
私は一般的な紙ナプキンを否定しているわけではないので、おりものの間だけ、おうちにいる間だけでいいから、布ナプキンを試してもらえたらなって思うんです。あくまで、皆さんの生理期間の憂鬱を少しでも軽減するためのものですから。使い方はお客様次第だと思っています。
それに、布ナプキンは「オーガニック・エコ」の分野に分類されがちですが、「うふふわ。」のコンセプトは「女の子の密かな楽しみ」です。たとえば、柄布(裏)は、デザイナーさんに手描きしていただいたもので「うふふわ。」オリジナルデザインとなっています。モチーフには、やさしい花言葉をもつ花がちりばめられています。裁断する場所によって入っている絵柄が一枚一枚異なっていて、受け取られた花言葉をぜひ「貴女へのメッセージ」として楽しんでいただきたいと思っています。
――布ナプキン以外にも、さまざまな活動をされていますね。
内田 はい。わたし自身のテーマとして「頑張っている女性を応援したい」というものがありますので、女性が自分を愛せるためのアイテムを販売したり、情報提供していきたいと思っているんです。女性が「自分の性を考える」きっかけになるモノを、多くの女性に届けられないかと思い、『LOVEカルテ』という書籍を出版しました。女性の体の仕組み、生理、セックス、出産まで、メカニズムの解析やや専門家の言葉をまとめています。
また、最近では小学校で「性」に関する講演を行っています。「性」は、なぜか“見せてはいけないもの”、“オープンにしてはいけないもの”というようなイメージを抱かれ続けてきました。けれど、「性」に関する営みは我々人間を支えている大事な部分でもあります。その大事な認識を子どもたちにも持ってもらいたい。本来性教育とは、仕組みを話すものではなく、道徳的な分野を含めて話す必要のある大切なトピックなんです。
――今後は事業において、またご自身の活動について、どのような展望を描いていますか?
内田 事業については拡大意欲はありますが、「布ナプキン専門店」というような店舗を構えるつもりは今のところありません。それよりも、興味のない人・存在を知らない人にどう広めていく仕組みをつくるか、布ナプキンの認知をどう広めるかが目下の課題となっています。また、今後は「性」の正しい認識を広める活動や、女性を応援する活動にも、今までよりも活動的に取り組んでいくつもりです。
私自身は布ナプキンをきっかけに自分の性を向き合い、今ではそれが仕事にも人生のテーマにもつながっています。やはり、ひとりの人間として自らの性と向き合うことは大切なことです。“女性だから”ではなく“女性だからこそ”の人生を皆さんに楽しく過ごしてほしいと思っています。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:内田 登代紀
所在地:福岡県宗像市東郷6-9-1
設 立:2008年
問い合わせ:0940-36-8283
URL:http://nunonapukin-seiri.com/<プロフィール>
内田 登代紀(うちだ とよき)
1977年生まれ、福岡県出身。2008年に「幸せのタネたんぽぽ」として創業し、布ナプキン『うふふわ。』の製造販売を行う。14年には女性の性と向き合った本『LOVEカルテ』を発刊。15年4月に(株)Danae (ダナエー)として法人化した。小学生やその母親に向けて、新しい性教育講演活動も行っている。関連キーワード
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