2024年12月26日( 木 )

北朝鮮への先制攻撃はあるのか?(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 それでは、トランプ大統領は実際攻撃に踏み切るだろうか。その可能性は非常に低いだろう。ソウルは軍事境界線から40kmくらいしか離れていない。現在北朝鮮の兵力の3分2は非武装地帯付近に配置されているようだ。戦車と長距離砲も非武装地帯に集中配備している。ソウルは中東の砂漠地帯と違って、報復攻撃を受けると、その被害が甚大になる。数年前の試算では、死者100万名以上になるという。ソウル周辺に2,000万人が集中しているだけに大きな被害は避けられない。それだけではない。中韓米軍の被害は勿論、日本の米軍基地への攻撃も考えられる。1994年クリントン大統領時代に実際アメリカは北朝鮮を空爆しようと計画したことがある。今と似たような状況であった。 被害が大きすぎるという試算が出たので、当時の韓国の金泳三大統領は、クリントン米大統領の核施設攻撃に断固反対し、中止させたことがある。2003年にもブッシュ大統領による先制攻撃案に対して、当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は被害リスクが大きすぎるとアメリカに強く反対した。北朝鮮を先制攻撃すると全面戦争になりかねないのでよほどのことがない限り簡単に攻撃は断行できない。しかし、何か偶発なことが戦争に発展する可能性もあるので、先制攻撃はないとも断言できない。

 しかし、米国が北朝鮮を攻撃するなら、中国と日本、韓国に事前に了解を取ることになるだろう。了解なしに行動を起こし、韓国戦争のような事態を招いてはいけないので、中国には事前に協議するに違いない。それに、日本にも協議するだろう。しかし、まだそのような動きも感知されない。中国は北朝鮮が崩壊して大量に難民が流れ込むことも心配している。そのような各国の緻密な計算の中で北朝鮮への攻撃が行なわれるので、北朝鮮への攻撃はそれほど簡単ではない。

(了)

 
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