暴言を吐く専門委員・河村博之氏の資質を問う!(前)~久留米市・欠陥マンション裁判
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福岡県久留米市の分譲マンション「新生マンション花畑西」の構造・施工の欠陥をめぐり裁判が続いている。このうち、設計の木村建築研究所と施工の鹿島建設に建替えを求めた損害賠償訴訟において、審理に出席した専門委員の言動をめぐり、原告であるマンション区分所有者から疑問の声が上がっていた。専門委員、河村博之氏の資質が疑問視されている言動とは――。
この裁判では、建築分野に詳しい専門委員として指定された河村博之氏によるいくつかの争点に関する説明で、疑問視されている内容について順番に解説する。
(1) 設計関係書類を未確認?
構造計算における要素の1つとして「地盤種別」があり、堅固な地盤を第1種地盤、極めて軟弱な地盤を第3種地盤、これ以外の地盤を第2種地盤と定めている。このマンションの基礎杭は地表から42mの深さまで施工されており、地盤種別の分類としては第2種地盤として構造計算をすべきである。これについて、ある建築関係者の意見を聞いたが、やはり「この敷地の地盤の場合、第2種地盤として計算すべき」との回答であった。
実際に、このマンションの構造設計概要書には「第2種地盤」と明記されている。しかし、構造計算書(電算により計算され出力された計算書)の中身は「第1種地盤」として計算が行われていたことが判明した。これは、地盤種別による数値「Tc」を見れば明らかであり、本来、第2種地盤のTc=0.6を採用すべきところを、Tc=0.4という第1種地盤の数値を採用している。その結果、地震力(地震により建物を揺らす力)を過小に計算しており、これが耐震強度不足の原因の1つとなっている。
原告の書面では、この地盤種別の偽装を指摘していたが、この指摘に対する専門委員・河村氏の発言は、「原本の木村設計作成の計算書では、第2種地盤として正規に計算されています。原告側の主張している第1種地盤で偽装して設計していることなどありません。原告は何を言っているのですか」というものであり、構造計算書の中身を見ていないことが露呈した。
河村氏が、構造計算書の内容を見ていれば、「Tc=0.4」(=第1種地盤)として構造計算されていることは容易に把握できているはずである。河村氏が「第2種地盤として正規に計算されている」という発言を、どう理解すれば良いのだろうか。考えられる理由は、次の3つ。(1)構造計算書の内容を把握しているが、地盤種別が偽装されていることを隠したい。(2)構造計算書の内容を見ていないので、どの地盤種別が採用されているか判らない。(3)そもそも、電算による構造計算書の内容を見る能力がない。いずれの理由にせよ、裁判の当事者の利益を左右しかねない専門委員に、河村氏のような人物がふさわしいとは、到底、思えない。
原告側の建築士が、「第1種地盤で構造計算されていることは、構造計算書の内容を見れば簡単に判別できることです。地盤種別を把握していないということは、河村先生は構造計算書を見ていないのではないですか」と指摘したところ、河村氏は、地盤種別を把握できていなかったこと指摘された悔しさからか、唇と手を激しく震わせながら、原告側建築士を罵倒しつつ、河村氏の荒っぽい自論による説明を展開したという。
(2)耐震診断の提出を知らずに原告を叱責
原告(区分所有者)側は、耐震診断(第二次診断)を実施し、証拠として裁判所に提出済みであった。当然、建築に関する専門委員である河村委員は、この裁判における証拠には目を通していたはずである。しかし、専門委員・河村博之氏は、「原告側で耐震診断も何もしないで、建物が危険とか軽々しく言えるものではありません」と、強い口調で原告を叱るような発言を行った。すでに原告から耐震診断結果が提出されていることを知らなかったことを棚に上げて、原告を叱るという、裁判における専門委員に相応しくない、品性に欠けると思われる言動であった。(3)工学的に成立しない骨組み、危険性を否定
このマンションは、柱と梁の配置のズレや、内部の鉄骨が緊結されていないなど、工学的に成立しない架構となっているが、構造計算は、架構を偽装して、現実と異なる構造モデルと計算が行われていることが判明している。原告は、この構造モデルの偽装を指摘していたが、これに対し、河村氏は、「耐力壁があるので、簡単に崩壊するものではない」と断言した。しかし、問題となっている架構には1階の耐力壁が抜けている「ピロティ階」が存在。河村氏の発言とは逆に、1階のピロティ柱に極端に応力が集中する構造となっており、より危険が増大する可能性が高いのである。この河村氏の発言は、図面を見ていない故の発言である可能性が高く、前項における、構造計算書を見ていないことが疑われる発言内容と合わせると、河村氏が、専門委員として裁判に臨むにあたり、関係書証にまったく目を通していない姿勢がうかがえる。
(4)鉄筋のかぶり厚さの不足について法令無視
このマンションは、鉄筋のかぶり厚さが不足しており、かぶり厚さがゼロの箇所もあることが被告である鹿島建設の調査により明らかになっている。原告は、建築基準法施行令の規定を満たしていない「法令違反」の状態であると主張しているが、河村氏は、「法律は関係ない。かぶりがなくても壊れない」と、法的根拠に基づく原告の主張に対し、法を無視して、切り捨てる発言をしたのである。(5)暴言を吐く!「誰か死ななければ判らない」
原告区分所有者を前にして、河村氏は、「建物が倒壊するかどうか、誰か死ななければ判らない」と、耳を疑うような発言があった。冒頭、原告から、「台湾のマンション倒壊の映像を見て、怖くて安心して眠れない」という悲痛な訴えがあった場での発言とは思えない、非常識極まりない発言であった。(つづく)
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