暴言を吐く専門委員・河村博之氏の資質を問う!(後)~久留米市・欠陥マンション裁判
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福岡県久留米市の分譲マンション「新生マンション花畑西」の構造・施工の欠陥をめぐり、設計の木村建築研究所と施工の鹿島建設に建替えを求めた損害賠償訴訟で、「建物が倒壊するかどうか、誰か死ななければ判らない」との暴言のほか、書証を確認したかどうかも怪しい説明を行っていた専門委員・河村博之氏。なぜ、そのような言動をとるのか。河村氏の人物背景を探った。
河村氏とゼネコンの関係
河村氏の言動は、中立的な立場であるべき専門委員の言動と思えないものばかりだ。高齢(この裁判に出席時点で80歳)で、裁判に関する大量の書証の文字を見ることが辛いということはあるかもしれない。しかし、裁判の専門委員が書証を見ることができなければ、専門委員の役目を果たすことができないことは言うまでもない。
また、河村氏の言動には、訴えられたゼネコン(鹿島建設)を擁護するかのような発言が多く、中立的立場の専門委員の発言としては違和感があった。しかし、河村氏の経歴を調べてみると、ゼネコン側に立脚した発言を繰り返す理由が見えてくる。河村博之氏は、1936(昭和11)年11月1日生まれ。59~60年に建設省営繕局で勤務。62年、九州大学大学院建築学専攻博士前期課程を修了し、大成建設(株)技術研究所で65年まで勤務。65年から、九州産業大学工学部で講師を務め、名誉教授にまで昇進。85年、工学博士を授与される。福岡県建築物耐震評価委員会委員を務める。
河村氏は、鹿島建設とともに「スーパーゼネコン」と称されている大成建設に在籍していたのだ。さらに、九州産業大学の河村研究室の卒業生(2002~03年)の進路を見ると下記の通りであった。
■河村研究室卒業生の主な就職先
2002年度:安藤建設、松井建設、住友林業、九積セキスイハイム、上村建設、大和建設、キュウハウ、田中事務所、寺田建設
2003年度:安藤建設、鉄建建設、積水ハウス、大豊建設、広成建設、志多組、隈建設、タマホーム、メノガイア河村研究室の卒業生の進路は、大学院進学者を除き、大半がゼネコンに就職していたのである。大学の教員にとって、学生の進路を確保することは、大学や学生からの評価に直結する、非常に重要な仕事の1つ。建築関係の裁判において、専門委員としてゼネコンに不利な発言をしていては、研究室の卒業生を受け入れるゼネコン側の態度に影響をおよぼすことが考えられる。河村氏には、長年のキャリアで染み付いたゼネコン側を擁護する体質だけでなく、言動に影響をおよぼす人間関係を有しているのである。
専門委員の資質の欠如
河村氏の経歴や立場をふまえると、ゼネコン寄りの意見を述べざるを得ないことは、誰もが容易に理解できる。河村氏が建築関係の裁判で、完全に中立な立場で、専門委員として意見を述べることは不可能であろう。だからといって、河村氏の言動は、裁判の専門委員として許されるべき内容ではない。
今回の久留米市の欠陥マンションのように、設計や施工における欠陥は、ユーザー(区分所有者、住民)の損害になる。ユーザーには、何1つ落ち度はなく、販売業者やゼネコンを信用し、数千万円のマンションを長期住宅ローンで購入した方がほとんどだ。保護されるべきは、弱者であるユーザーのはずだ。専門委員としての資質を著しく欠く河村氏は、即刻、専門委員を辞任すべきである。
(了)
【伊藤 鉄三郎】■裁判における専門委員制度
専門委員は、民事訴訟の紛争の解決のために、裁判官からの質問に対して、専門的な知見から意見を述べるなど、「裁判所のアドバイザー的な立場から訴訟全般に関与する」役割を持ち、民事訴訟法第92条の2に「裁判所は、争点若しくは証拠の整理又は訴訟手続の進行に関し必要な事項の協議をするに当たり、訴訟関係を明瞭にし、又は訴訟手続の円滑な進行を図るため必要があると認めるときは、当事者の意見を聴いて、決定で、専門的な知見に基づく説明を聴くために専門委員を手続に関与させることができる。この場合において、専門委員の説明は、裁判長が書面により又は口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日において口頭でさせなければならない」と定められている。法人名
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