自動運転で急激に注目を集める、車載半導体市場の行方(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
半導体は、“産業の米”と呼ばれているが、最近、自動車分野での半導体に熱い視線が注がれている。これまで半導体は、コンピュータに搭載されることによって市場を伸ばしてきたが、その軸足をモバイルに移しつつあるのが現状である。ところが将来、自動運転などで自動車に半導体が多く使われることが予想され、グロバール半導体メーカーは大型M&Aなどで車載半導体市場に参入しようとしている。
それでは、自動車と半導体はどのような関係になっているのかを取り上げてみよう。
半導体が自動車に採用されたのは、1980年代に導入された電子制御式燃料噴射装置が最初であろう。半導体が自動車に搭載されることによって得られるメリットは、自動車の安全性と利便性が向上されることだ。
たとえば昔は、手でバックミラーを動かしていたが、現在はボタンを押すだけでバックミラーが自由自在に動くようになっている。エンジンの始動も、昔はキーを挿して回していたが、今はボタンを押すだけで始動がかけられる。
このように 半導体が自動車に搭載されると、自動車の利便性は向上する。また利便性だけでなく、先端的運転者支援システムなど、安全性の向上にも車載半導体は大きく寄与している。現在、自動車には1台当たり約200個の半導体が搭載されている。このような自動車に搭載される半導体のことを「車載半導体」というが、車載半導体は自動車に搭載される電気機器などを主に制御する役割を担っている。車載半導体は車への使用が増加しているし、エンジン、制御装置、駆動装置、センサーなど自動車の安全と関連したコア部品に多く使われている。
車に半導体の搭載がますます増えている理由としては、次の3つのことが考えられる。
1つ目に、半導体が持っている再現性である。半導体は、同じ動作を何万回も何十万回も正確に実現してくれる。同じことを正確に実現しないといけない自動車走行に、半導体はうってつけである。
2つ目は、軽量化とコンパクト化の実現である。半導体の長所は、数百万個の回路を爪ほどのサイズのチップに詰め込むことができる小型化にある。とくに自動車では、重量を減らすことは燃費向上につながるため、半導体の採用が増えるのは当然な結果である。
3つ目に、知的財産権の保護である。半導体にブラックボックス化させることによって、ライバルへの技術流出が防止できる。
それに自動車市場は、電気自動車の普及などのパラダイムシフトによって、自動車と半導体はますます切っても切れない関係になっている。すなわち自動車は、「走る半導体」になりつつある。(つづく)
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