不合理、癒着うずまく久留米市の現在　会頭にアゴで使われる市長でいいのか（後）

久留米商工会議所

2017年5月30日 07:03

印刷

お問い合わせ

ツイート

ビジョンなきまちづくり　178億5,000万円の浪費

　A　だいたい、久留米市にまちづくりのグランドデザインがあるのかどうか、疑問ですよ。今後100年の久留米市をどうしていきたいか、考えている様子がない。

　B　西鉄、JR、新幹線と公共交通機関が充実していますから、福岡市の衛星都市としてベッドタウンに特化してもいいと思うんですよ。人口はちゃんと増えていますから。

　――無理をして古くからの商店街を活性化させたり、郊外型の大型店舗に対抗させたりする必要は必ずしもないでしょう。

　A　しかし、仮にその方向に振り切るとすると、今度はこのシティプラザの存在が合致しないんですね。

　――久留米市の今後を考えるうえで、どういう位置づけを与えるかということですね。

　B　おそらくは、その位置づけを誰も考えていないんですよ。

　A　178億5,000万円のお金を使って、この場所に作るということの理解に苦しみます。

　B　そもそも久留米のまちのなかだけで完結していて、インバウンドの海外顧客どころか近隣自治体から人をどう呼ぼうかという発想すらありませんね。まちづくりのコンセプトを固めたうえで、その核になるシティプラザをどう作ろうかと議論して建設を計画するのが順序でしょう。

　A　集客施設だ、と考えた場合には、立地は非常に重要な条件でしょう。ただこの場所が空き地になったからここに作ろう、ではダメに決まってるじゃないですか。近年の集客施設の成功例は、必ず駅の近くに立地しています。鳥栖のベストアメニティスタジアムだってそうでしょう。計画中の長崎MICEセンター（仮称）もそうですね。

　B　そもそも商店街が衰退して、人が来なくなったところに作ること自体おかしいですね。利用者目線、市民目線がない。

一度は決まった建設予定地　覆したのは本村・楢原コンビ

　――話は戻りますが、なぜあの場所になったのでしょうか。

　B　もともと、久留米大学のチームが「シティプラザはJR久留米の新駅近くに作るべきだ」と提言していたんですよ。市の中心をJR久留米駅側に移す、と。江藤守國前市長（10年に病気のため退任、15年死去）もその計画を承認しました。そのとき、江藤市長の隣に座っていたのが当時副市長の、楢原利則・現久留米市長です。この江藤市長が突然のくも膜下出血で倒れたのが始まりでした。江藤市長の跡を継いだ楢原市長が、副市長当時了承していた「シティプラザ・JR久留米駅近隣計画」を覆したんですよ。

　A　そこで、久留米商工会議所の本村康人会頭が出てくるわけですね。本村会頭と楢原市長の関係はどうなんですか。

　B　これはもう、明確な上下関係があります。本村会頭が上、楢原市長が下。なにしろ、飲み会の席では本村会頭は楢原市長を「おい、ちょっと」と呼びつけるらしいですよ。

　A　当然、市長になる前からの付き合いがあったわけでしょう。

　――本村会頭の任期は4期目、11年目ですから長いですね。副市長になる前からそういう関係だったのでしょう。

　B　地元では、当然のように「楢原市長は本村会頭の意のままに動かされる」といわれていますからね。

　A　江藤前市長が健在だったころは、本村・楢原両氏は好き勝手はできなかったけど、前市長が倒れたらもうやりたい放題になったわけですか。

　――楢原市長は副市長上がりということは、もともと市役所職員だったんですか。

　B　そうですね。江藤前市長もですが、プロパーですよ。

　A　いわゆる落下傘候補でやってくる官僚出身の首長は批判されることは多いですが、市職員のプロパー上がりの市長というのも弊害はありますね。市組織のなかの関係性が硬直化してしまう。

　――本村・楢原関係のような人間関係をずっと引きずってしまうわけですね。