スマホ決済時代のクレジットカード(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
筆者は30年くらい前にダイナースクラブとアメリカン・エキスプレスを保有するようになって、非常に自慢げに思った記憶がある。その当時のマーケティング戦略だったのかもしれないが、 担当者から「厳しい審査でごく一部の人にしかこのクレジットカードは発行されない」ということを聞かされたからだ。
クレジットカードの便利なところは、手元に現金がなくても買い物ができ、分割払いを利用すると、高額商品も購入できる点だろう。クレジットカードのもう1つの利点は、小銭が発生しないという点である。クレジットカードの普及とともにビジネスがどれほど拡大してきたかは、改めて言う必要もないだろう。
しかし一方で、クレジットカードの弊害もある。男性も女性も、クレジットカードがなければ購入しなかったであろうものを、「分割にすると、それほど負担にならない」という言葉に乗せられて購入したことで、後にどれだけ後悔したことだろうか。とくに男性の場合は、酔った勢いでハシゴ酒をし、翌朝クレジットカードの伝票を見て、どんなに後悔したことか。多くの男性が経験したことがあるだろう。
それでも、クレジットカードの登場で、買い物の利便性が増したことはたしかであるし、クレジットカードは多くの人に有効に活用されている。ただ、どういうわけか日本では、クレジットカードより依然としてキャッシュが使われることが多い。日本はキャッシュの使用率が7割を超えている珍しい国である。
それには、日本人の国民性も影響しているだろう。日本では、加盟店手数料が高く、端末の導入費用も高いので、ある程度規模がない限り、店舗としてはクレジットカードの導入が難しい。その結果、日本ではクレジットカードが使用できないお店もかなり多い。
もう1つは、クレジットカードだとお金を使ったという感覚が薄くなるので、支出が増えがちになり、そうしたこともあって日本人はクレジットカードをあまり使わないのかもしれない。それでは、クレジットカードはいつ、どこで誕生しただろうか。
クレジットカードは1950年代にアメリカで、最初にダイナースクラブが、それからほぼ同じ時期にアメリカン・エキスプレスが設立されたという。すなわち、クレジットカードの誕生はアメリカである。
ダイナースクラブの創設者の1人であるF・マクナラは、レストランで食事を終え、支払いをしようとしたら、財布がなかったという。たまたまその店の常連だったため、事情を説明し、次回に支払いするという約束を紙に書いてわたしたことで難を逃れたが、それこそがクレジットカードの始まりだと伝えられている。
その後、今は世界的なブランドになっているVISAやマスターが誕生している。日本にクレジットカードが普及したのは、1960年代である。ダイナースクラブが日本進出することによって、日本でもクレジットカードの普及が始まった。その後、日本のクレジットカードとしては世界ブランドに名を連ねているJCBも誕生している。
日本では、デパートなどの流通系、それから銀行系、交通系などいろいろなところがクレジットカードを発行しており、その種類も実に多い。(つづく)
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