環境変化著しい金融業界、スピード感をもって変化していく(後)
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(株)山口銀行 頭取 吉村 猛 氏
地域とともに歩む
――地域密着型金融にも、取り組んでいらっしゃいますね。
吉村 地域・お客さま、山口FGが共存共栄していくために、私たちができることを考えて取り組んでいます。経営コンサルティング機能を充実させて発揮していくことで創業・新事業支援、販路開拓、成長分野支援、海外進出支援、企業再生支援といったお客さまの支援をしていくというものです。お客さまの考えている事業に耳を傾けて、金融機関としてともに取り組んでいき、地域の活性化につなげたいですね。
――企業にはそれぞれで、支援してほしい内容が異なると思います。
吉村 そうですね。創業期と成熟期では、金融機関にバックアップしてほしい内容に違いがあると思います。そこで、それぞれの状況に合わせたメニューを考え、お客さまのニーズに応じたサービスをしていこうと考えています。
――また、これまでのように担保を中心とした金融ではなく、事業性を評価して融資していく、という事業性評価に基づく支援もなさっていますね。
吉村 「評価」という言葉は、適切ではないように思います。評価というと、上から点数をつけるというイメージになってしまいますから。私たちは企業とともに、事業に寄り添っていくという立場にありたいと思います。ただ、言葉としては事業性評価が一般的で、私たちも使っていますが(笑)。この分野にしても、自分たちならどこまで、どのようなことができるのかを見定めている段階です。
――5月31日には「やまぐち健康経営企業認定制度」の取り組みに対し、支援を発表されました。
吉村 この制度は、山口県が保険者と協働して新たに設けたもので、経営的な視点から従業員の健康管理を考えて実践する健康経営に取り組む企業を認定し、表彰するものです。私たちはこの取り組みに賛同し、山口銀行の営業店を通じてこの制度の周知を行うと同時に、グループ企業のワイエム証券から300万円の寄付を行うことに決定しました。
――元気な企業を応援し、増やしていくことで地域活性化につなげるということですね。
観光による地方創生に期待
吉村 私たちは、地域とともに発展・成長することが使命であると考えています。小さな親切運動で青少年の心の育成を図ったり、敬老の日に高齢者の方にプレゼントをするなどの取り組みを行っています。おもしろいところでは、高校生を対象に経済・金融に関する知識「金融知力」を争ってもらう、「エコノミクス甲子園山口県大会」を主催しています。山口県大会は山口銀行、広島県大会はもみじ銀行、福岡県大会は北九州銀行がそれぞれ行っています。経済・金融に関するクイズで優勝すると全国大会に出場でき、全国で優勝するとニューヨーク研修旅行がプレゼントされるものです。
――そういった地域への貢献も、忘れずに取り組んでいらっしゃるのですね。山口県は県全体として人口減少が進んでいます。とくに、山口銀行が本店を構えている下関市は、人口減少と高齢化が著しいです。山口県に対する印象をお聞かせ願えますか。
吉村 おっしゃる通り、山口県全体、とくに下関市は人口減少・高齢化が進んでいます。下関市は県下で最も人口の多い都市ですが、同時に県下で最も人口減少が進んでいる都市でもあります。
そうしたなか、市は観光に力を入れて、まずは流動人口の増加を目指していますね。地域に眠る史跡などを観光資源にするにはどうしたらいいのか、取り組みを開始していると聞いています。人が集まってくれれば、そこにお金の流れが生まれますし、経済的に地域企業が潤うことは長期的に見て下関市の発展につながっていくと思います。
私たちは金融機関として、できるだけサポートしていきたいと考えています。この3月には前田晋太郎市長が当選されました。若い市長なので、エネルギーが満ち溢れているように思います。前田市長の手腕には、期待しています。
(了)
【文・構成:柳 茂嘉】<COMPANY INFORMATION>
代 表:吉村 猛
所在地:山口県下関市竹崎町4-2-36
設 立:1944年3月
資本金:100億円
経常収益:(17/3)791億6,400万円関連キーワード
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