2024年11月25日( 月 )

「小池都知事と都民ファーストの会」という壮大なる茶番劇(1)

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SNSI・副島国家戦略研究所 中田 安彦

 通常国会も会期末をもうすぐ迎える。野党側の抵抗も虚しく、共謀罪法案は自民・公明・維新の「与党3党」の賛成で成立する。与党側が衆参で3分の2を押さえているのだから、国会審議でいかなる問題点が発覚しても、自民党の議員たちは「投票自動機械」になっている以上、上から締めつければ「どんな筋が悪い法案」でも通過する。2012年末に発足した安倍晋三政権は、戦後3番目の長期政権となったが、この間の日本の「報道の自由」の質の低下、政治家の質の低下は著しい。安倍首相と菅義偉官房長官の強権コンビが政権批判に対する監視を行い、官房機密費をふんだんに使って御用学者・評論家に対する懐柔を行っている。そういう事実は連日の「首相動静」での総理の会食状況を見ればわかる。

 国会が閉じたらすぐに、6月23日告示、7月2日投開票の東京都議会選挙が始まる。この都議選は小池百合子都知事が昨年に当選して約1年後に実施されることになる。42の選挙区で争われ、原則一選挙区で最大8人が当選する「中選挙区制」であり、過半数は64議席だ。小池百合子知事が代表を務める「都民ファーストの会」という地域政党は、「東京新聞」(5月23日)や「産經新聞」(6月1日)等によると、現在、5議席(公明22、自民57、共産17、民進9、ネット・維新・諸派無所属16)であるが、今回、都民ファーストはすでに48人の候補を擁立済みだ。それ以外にも民進党から離党した無所属の現職都議たちは都民ファーストを支援すると表明しており、同党からの推薦を得て戦う。今回の都議選では公明党が小池知事側を支持することを表明しており、都内には小池百合子と公明党の候補の緑色のポスターを見かけるようになった。

 重要なのは、都民ファーストは現在50人くらいの候補者を擁立するものの、単独での過半数は無理だということだ。そこで公明党と選挙協力をしたり、民進党から離党した候補を積み上げたりして、「知事勢力」にするわけだ。選挙の結果は明けてみないとわからないが、現在でも都民ファーストが第2党以上になることは確定している。自民党とどっちが上か、都民ファーストの選挙公約や自民党への風当たり次第で変わる。

 しかし、今回の都議選の争点は何なのだろうか。小池知事就任から約1年経つことから小池都政への審判が行われるのだとは言えるが、都民ファーストも「東京大改革」というスローガンだけが先行して、どうもはっきりしない。都知事就任後に大きくぶち上げた、築地市場の豊洲への移転問題にしても、結局築地の方の汚染がひどいのではないかと批判する側に揶揄される始末だし、オリンピックの都の財政負担にしても、結局、ボートレースなどの競技場は新設することに決まってしまい、「わずか二週間の運動会のお祭り」のために大きな負担を強いることは変わらない。金のかかる五輪であることは間違いなく、官邸側が小池知事にうっちゃりを食らわせた形だ。

(つづく)

(リンクは2017年6月13日現在のもの)

<プロフィール>
nakata中田 安彦(なかた・やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

 
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