人工知能は世界をどのように変えていくのか?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
それでは、なぜこのようなことが実現できるようになったのだろうか。
その要因には、技術の発達などいろいろあるが、「機械学習」と「ディープラーニング」が人工知能のブレイクスルーに大きく貢献している。
機械学習とは、大量のデータを処理しながら、コンピュータが独自にデータの分け方を習得することである。分けるためにはデータを判断したり、認識したりしないといけないが、それを学習することによって、コンピュータはデータを分けることができるようになる。学習する能力を提供するアルゴリズムを人間がつくり、コンピュータはそれを使って学習するのが機械学習である。
機械学習の場合は分けるための判断基準を人間がアルゴリズムとして提供するのに対して、一方のディープラーニングとは、分けるための判断基準もコンピュータが自分で見つける。これは、コンピュータがすべてを完結する画期的なことである。今までは、たとえば犬を判断する際の特徴とコンセプトを人間が提供しないといけなかったが、犬の特徴とコンセプトを、人間の手を借りずにコンピュータが自分で学習できるようになったのだ。このディープラーニングが確立したことで、人工知能は今までの壁を崩し、飛躍的に発展するようになった。人工知能は、自動車の自動運転技術のコアテクノロジーとしても注目が集まっている。
それでは最後に、韓国の人工知能の開発状況を見てみよう。
世界的に人工知能に旺盛な投資が行われている。グーグルは過去10年間で280億ドルを人工知能関連企業の買収に投じている。トヨタ自動車も10億ドルを投資し、人工知能研究所を設立している。
中国の百度(バイドゥ)は3億ドルを投資し、シリコンバレーにディープラーニング研究所を設立している。IBMなどは人工知能に社運をかけているといってもよいほど、人工知能に力を入れている。しかし一方で、韓国では過去5年間で人工知能に対して180億ウォン(約1,600万ドル)の投資しか行っていない。今回、アルファゴのショックでやっと人工知能の可能性に気づき、政府も対策を急いでいる状況である。
専門家によると、韓国の人工知能の技術は、先進国に比べて2.5年の技術格差があるという。幸い、サムスン電子などはスマホへの活用を中心に、遅ればせながら人工知能に力を入れ始めている。人工知能は、詰め込みや暗記を重視した従来の教育のあり方に疑問を投げかけている。人工知能の登場で、今後消えていく職業も多いとされている。また、人工知能を用いたスマホの秘書機能は、ライフスタイルにも大きな変化をもたらすだろう。到来する未来を見据え、賢明な対策が求められる。
(了)
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