「小池都知事と都民ファーストの会」という壮大なる茶番劇(2)
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SNSI・副島国家戦略研究所 中田 安彦
最近の国会では、加計学園問題で安倍政権の文書開示がなされない秘密主義や強引な総理の意向のゴリ押しが問題になっているが、小池都知事はこの加計問題に対する批判を演説の中で取り入れていると報じられ始めた。また、小池氏の側近格である若狭勝衆議院議員も「安倍総理と親しいジャーナリスト」による準強姦事件のもみ消しを官邸側が行ったのではないかとする週刊誌の報道に呼応して、政権批判をやり始めた。
この動きを見て、拍手喝采する安倍政権を批判する側の声も出そうだが、私から見ると「これぞポピュリズム」というほかはない。小池都知事の手法は表面的な票目当てのポピュリズムだ。しかも、本当の弱者を含めた都民の生活の苦しみに対する眼差しに基づく「ポピュリズム」ではなく、人気取りの「偽装ポピュリズム」だ。新自由主義だ。
例えば、豊洲問題だ。たしかに小池都知事は2008年に豊洲移転を懸念する文章を自民党同僚議員の猪口邦子、佐藤ゆかり両氏と結成した政策ユニットの連名での著作で書いていたようだが、この問題を徹底的に追及してきたのは日本共産党であり、岩上安身氏が率いるメディア集団IWJである。小池都知事は「後からその成果に便乗」したにすぎないように私には見える。小池氏が本気で豊洲移転をストップするならご自身は自民党都連所属の国会議員だったのだから、もっと積極的に運動されるべきだった。豊洲の工事が終わる頃に「反対だった」というのは単なる「後出しジャンケン」に過ぎない。豊洲問題は建設工事にかかった6,000億円とされるコストを抜きに語れない。小池氏はこのコストの回収問題を抜きにして、安易に「築地維持」や「豊洲や築地の併用」などの案は語ってはならない。全てはカネの問題である。あの建造物をどのように処分・活用するのか。かかったコストをどのように回収するのか。私は以前、あの建造物か土地をカジノ用地として売却するべきだと提案したことがあるが、そのような大胆な対策を小池氏は出せるのか。それが出来なければ、「築地場外市場」は築地文化の象徴として残して、豊洲移転もやむを得ないのではないか。五輪経費の負担問題と同じように掛け声だけは大きいが、やがては腰砕けに終わってはいないか。
また、街頭演説で加計問題を小池氏が批判するのも「ちゃんちゃらおかしい話」だ。こちらも、民進党や共産党が国会で連日の追求を行い、フリージャーナリストの岩上氏や田中龍作氏などが地をはうような取材で事実を明らかにしたのだ。こちらも、後からやってきた小池都知事が、便乗して政府批判に利用するのは調子がいい話としか言いようがない。
私は小池都知事の「都民ファーストの会」というのは、かつて大阪都構想を掲げて登場した「大阪維新の会」以上に「中身のない政党」だと思っている。政策を見てもどこの政党でも考えられる提案が並ぶばかりで、「東京大改革」のスローガンだけが虚しく響く。たまたま、舛添前都知事のせこい公私混同問題や、「都議会のドン」とされる古株が存在したから劇場型の小泉政治に似たような効果を小池氏が挙げる事ができたに過ぎない。(都民ファーストの会政策PDF)
(つづく)
(リンクは2017年6月14日現在のもの)
<プロフィール>
中田 安彦(なかた・やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。関連キーワード
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