「小池都知事と都民ファーストの会」という壮大なる茶番劇(4)
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SNSI・副島国家戦略研究所 中田 安彦
つまり、都民ファースト現象と言うのは国政レベルのプリズムで見ると、「リベラル派の抹殺」という結果をもたらすのであり、安倍首相が目指す改憲勢力の増加を意味する。一方で、小池都知事勢力が圧勝して第一党になった場合には、国政でも自民党とファースト国政政党の二大政党が選挙で争うことになるが、この2つの政党は、政策的にはほとんど差異がないマニフェストを出して選挙を戦うことになる。真ん中から右に日本の政治のバランスが大きく偏って、真ん中から左が国会の少数派になるだろう。国会で安倍政権のスキャンダルを追及したはいいが、その成果を小池都知事に街頭演説で利用された挙句、都議選には勝てない・・・、というような結果が起きてしまう可能性が今の世論調査を見る結果では高い。
このような、右派政党がリベラル派の支持層にまで攻勢を仕掛けると言うかたちでの「偽装ポピュリズム」の拡大を私は大きく懸念する。いっときの人気に飛びつくのではなく、長期的に日本の政治にとって何が必要かという冷静な判断によって、都民は判断をすべきである。日本に自民党は何個も必要ない。
また、国政において、民進党は、最大の保守派であった長島議員が離党した「好機」を生かすべきで、共産党も含めた政界再編をそろそろやって中道左派から左のウイングを強化しなければ、日本の健全な議会制民主主義の将来にとって良くない。右ばかりが強いのは問題だ。有権者が「安倍/自民一強」体制に懸念があるのであれば、維新や小池系ではなく、弱体化している野党を応援する方がいい。
どうせ、当分は自民党政権が続くのだから、イギリス総選挙で有権者が絶妙の感覚で左派政党である労働党を踏みとどまらせたような叡智を見せるべきだ。「衆参ねじれ国会」そして「決める政治よりも、なかなか決まらない政治」こそが本当にすばらしいのである!一方が一方的に数で圧倒していれば「話し合いの国会」「真摯な討論」など生まれるはずがない。小選挙区制の導入は決定的な失敗だったと改めて思わざるをえない。
有権者は賢く絶妙なバランスで政治勢力を再編するにはどのようにすればいいか、もっと真剣に考えるべきだ。「安倍さんは他よりまし」というようなことを言っているようではダメだ。「安倍首相が退陣すれば景気が悪くなる」とでも考えているのだろうか、経済学には「景気循環論」の考え方がある。景気はいつかは良くなり、いつかは悪くなるものだ。民主党政権時代に世界金融危機(08年~)と大震災(11年~)の影響で景気のどん底を経験したからといって、安倍政権を無批判に続けさせることがいいのか、そろそろ真剣に考えるべきではないだろうか。
(了)
(リンクは2017年6月16日現在のもの)
<プロフィール>
中田 安彦(なかた・やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。関連キーワード
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