福岡の有力3社のホテル事業の皮算用(前)
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インバウンド(訪日外国人客)の増加を受けて、ホテルの建設ラッシュが起きている。
政府は、東京オリンピックが開催される2020年の訪日観光客数の目標を、当初の2,000万人から4,000万人に倍増させた。膨らむホテル需要に、新規参入が相次いでいる。
その中心になっているのが、マンション開発会社や鉄道会社だ。ホテル開業ラッシュにバブルの懸念が出ている。福岡の有力3社、JR九州、西鉄、ロイヤルのホテル事業にスポットを当ててみよう。
JR九州のホテル、首都圏に初進出
2016年10月25日、東京証券取引所第一部に上場を果たした九州旅客鉄道(株)(JR九州)は、ホテル進出に意欲的だ。
14年8月、JR九州グループホテルの首都圏第1号となる「JR九州ホテル ブラッサム新宿」を開業した。JR新宿南口改札から徒歩3分。16階建て247室。土地はJR九州が学校法人から取得。1室の広さが25m2前後のツインルームを主体に、従来のビジネスホテルよりグレードを高めた。外観は15年度のグッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞した自慢のホテルだ。JR九州は、株主優待制度を取り入れた。JRホテルブラッサム新宿の株主優待の宿泊割引は、通常日は3割引、休前日は2割引。株主優待以外の割引幅は1割程度のため、魅力的な優待だ。ホテル戦争の大激戦区である新宿で知名度を高めるために、知恵を絞っている。
ホテルを運営するのはJR九州ホテルズ(株)で、99年にJR九州の100%出資で設立した。同社のホームページによると、12のホテル(客室数1,930室)を運営している。JR九州は鉄道だけではメシを食っていけないため、さまざまな事業に手を出し“ダボハゼ経営”と揶揄された。ホテル事業は多角化の一環。17年3月期のホテル事業の売上は130億円。熊本地震の影響で、横這いにとどまった。
JR九州の17年3月期の売上高にあたる営業収益は3,829億円、営業利益は587億円。鉄道などの運輸事業の営業利益は全体の44%で、残りは多角化事業で叩き出した。稼ぎ頭は、駅ビル・不動産事業。JR博多シティなど、駅前の不動産を活用した商業施設や賃貸用不動産だ。MJRブランドの分譲マンションは、九州トップクラスを誇る。収益構造から見れば、JR九州は鉄道会社というよりは、デベロッパー会社だ。JR東日本とJR西日本は分割民営化後、本格的にホテル経営に乗り出した。JR九州も上場を機に、ホテル経営に本腰を入れる。
(つづく)
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