福岡の有力3社のホテル事業の皮算用(後)
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西鉄はホテルの海外展開を加速
西日本鉄道(株)は、ホテル事業の海外展開を速める。2015年9月、ホテルの海外第1号を、韓国ソウル最大の繁華街・明洞地区に「ソラリア西鉄ホテル明洞(ミョンドン)」(客室数312室)を開業。17年4月には、韓国釜山に海外2店目となる「ソラリア西鉄ホテル釜山(プサン)」(客室数203室)を開業した。
西鉄は6月15日、タイの首都バンコクで、海外3店目となるホテルを20年春に開業させると発表した。バンコクのホテルは27階建てで、高さ100m、全267室。土地を保有して開発するのは初めて。総投資額は75億円。
日本経済新聞電子版(6月15日付)は、その狙いを、こう報じた。
〈ホテル事業の売上高を2025年度までに現在の約2倍以上の年400億円にする。アジアを中心とした海外での展開を速める。(中略)現在、海外では韓国2店舗、国内18店舗で、計5,076室に上る。25年度までに、店舗数と室数はそれぞれ現在の倍の40店、1万室を目指す。海外売上高比率は現在5%ほどだが、30%まで引き上げる。〉
西鉄の17年3月期の連結決算は、営業収益は3,582億円、営業利益は193億円。鉄道・バスの運輸業が全体に占める割合は、営業収益は24%、営業利益は32%にとどまる。不動産や西鉄ストアなどの流通業で稼いでいる。
西鉄のホテル事業は、最高級の「西鉄グランドホテル」、シティホテルの「ソラリア西鉄ホテル」、シティとビジネスの中間の「西鉄ホテル クルーム」、ビジネスホテルの「西鉄イン」の4ブランドを展開。
ホテル事業の営業収益は240億円、営業利益は13億円。ソラリア西鉄ホテルソウル明洞の客室単価の上昇を寄与して、前期に比べ営業収益は9%、営業利益は28%増えた。今後、ベトナムや台湾などアジアを中心とした海外展開を速めて、ホテル事業を大きな柱に据えることにしたわけだ。ロイヤルHDはリッチモンドホテルが支柱だ
ロイヤルホールディングス(HD)(株) の16年12月期の連結決算は、5期連続の増収、8期連続の経常増益となった。売上高は前期比2%増の1,330億円、経常利益は4%増の52億円だった。ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」、天ぷらのファーストフード「天丼てんや」の外食事業は減収減益。業績を牽引したのはホテル事業である。
ホテル事業の売上高は前期比14%増の253億円、経常利益は13%増の38億円。全社の経常利益の73%を叩き出している。リッチモンドホテルが好調で、ロイヤルホストの苦戦を補った。収益構造から見ると、ロイヤルHDはホテル会社というのが実態なのだ。ホテル進出は1991年。大和ハウス工業(株)、ロイヤル(株)(現・ロイヤルHD)、福岡地所(株)などの出資で合弁会社ダイワロイヤル(株)を設立して、ビジネスホテルの「ロイネットホテル」を運営した。04年、ダイワロイヤルを大和ハウス側とロイヤル側に会社分割。ロイヤルが92%、福岡地所が8%出資しアールエヌティーホテルズ(株)を設立、ロイネットホテルの事業を継承。リッチモンドホテルの名称に変更して、ビジネスホテルを展開してきた。
ホテル事業は前期末の直営店は36店(7,384室)、稼働率は89%。16年のビジネスホテルの全国平均の客室稼働率は74.4%から考えると、リッチモンドホテルの稼働率はかなり高い。
リッチモンドホテルは、サービス産業生産協議会の「16年度宿泊顧客満足度調査」のビジネスホテル部門で、2年連続1位に選ばれるなど、人気が高まり常連客が増えた。今年7月2日、東京・芝公園にあるホテルコンソレイユ芝・東京の名称がリッチモンドホテル東京芝に変更する。運営委託ホテルから直営化する。ロイヤルHDは、今日では、ホテル事業が主柱になった。
JR九州、西鉄、ロイヤルHDの福岡の3社は、空前のホテル開業ラッシュのなか、ホテル事業の拡張に強くアクセルを踏んだ。果たして、吉と出るか?
(了)
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