九州地銀(18行)の決算(17/3月期)を検証する(7)
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5.リスク管理債権について
【表1】は九州地銀(18行)のリスク管理債権比率の順位表である。
この表から見えるもの
(1)3つのフィナンシャルグループについて
・リスク管理債権比率が一番高いのは九州FG(単体合算)で、貸出金6兆1,111億円に対し1,455億円。比率は2.38%。次が西日本FHで、貸出金6兆8,038億円に対し1,496億円。比率は2.20%。一番低いのはふくおかFGで、貸出金11兆4,282億円に対し2,291億円。比率は2.01%となっている。・3グループとも健全の目安とされる2%台で、しかも前半で収まってはいるが、貸出金のボリュームを見ると一強二弱となっているのが分かる。進捗が見えない十八銀行との経営統合が予定通り認められることになれば、さらにその格差が広がることになる。九州FG、西日本FHがふくおかFGと伍していくためには、新たな枠組みの経営統合を模索する時期に来ているようだ。
(2)九州地銀18行について
・保全率は別として、リスク管理債権比率がワーストワンは南日本銀行。貸出金5,655億円に対して、リスク管理債権は365億円。その比率は6.46%と非常に高い。
一方同じ鹿児島市に本店を構える鹿児島銀行の貸出金は3兆501億円に対し、リスク管理債権は792億円。その比率は2.6%。貸出金は南日本銀行の5倍強に対して、リスク管理債権はほぼ2倍にとどまっている。南日本銀行にとっては厳しい数字となっている。・第2位は福岡中央銀行で4.29%。第3位は豊和銀行で3.88%。以下佐賀共栄銀行3.55%。大分銀行3.22%。宮崎太陽銀行3.12%。第7位の筑邦銀行は3.05%で、ここまでが3%台となっている。
・健全性の目安とされる2%台。その2%台後半には十八銀行2.95%、熊本銀行2.94%、鹿児島銀行2.6%の3行。2.5%~2%の前半には親和銀行2.47%、佐賀銀行2.41%、西日本シティ銀行2.15%、長崎銀行2.07%の5行。
・健全性が良好とみなされる1%台には福岡銀行1.78%、宮崎銀行1.70%、北九州銀行1.31%の3行。参考までに最近アクセスが増えている山口県は、山口銀行1.23%、西京銀行1.47%と両行とも良好。裏を返せば資金を借りる際に「敷居が高い銀行」だといえるのかもしれない。
いずれにせよ、人口の減少にともなう地域経済の縮小により、地方銀行のリスク管理債権は増加すると予想されている。それを抑えるためにも、今こそ地方銀行は経営者の高齢化に伴う事業継承を積極的に仲介するなど、地域経済を活性化させる役割を求められているのではないだろうか。(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】※クリックで拡大
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