チキンは韓国人の大好物?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
日本人が「韓国の代表的な食べ物は?」と聞かれると、焼肉や冷麺、プルコギ、キムチ、サムゲタン(参鶏湯)、サムギョプサル(韓国の豚バラ焼肉)といったような返事が返ってくるだろう。もちろん、これは間違ってはいない。
しかし、韓国人同士での外食メニューとなると、一番人気の高いのは焼酎にサムギョプサルか、チキンにビールという組み合わせだろう。韓国では、チキンとビールを組み合わせた造語である「チメク」という単語も流行っている。
今回は、チキンがなぜこれほどまでに韓国人に愛されるようになったのかを調べることで、韓国社会の一面を理解する手助けにしたい。私たちが普段食べている、いわゆる“フライドチキン”は、18~19世紀にアメリカで誕生したようだ。当時、主人である白人が鶏をオーブンで料理する際、あまり肉の付いていない羽や首などは残していた。それを南部の黒人は油で揚げて食べていたようで、それがフライドチキンの始まりだとされる。その後、この料理は白人にも人気を博し、チキンは料理の1つとして広く広まるようになった。今でもケンタッキーフライドチキン(KFC)は、世界で一番有名なチキンフランチャイズである。
一方、チキンが韓国に上陸した時期は1960年代で、明洞(ミョンドン)に電気で鶏をバーベキューにする機械が導入された時期であろう。その後、80年代に韓国でチキンフランチャイズが誕生し、チキンの普及に拍車がかかった。
現在、韓国には個人店舗のチキン店まで含めると、全国に約4万店舗以上のチキン店がある。その数は、全世界にあるマクドナルドの店舗数3万5,429店よりも多いということで、話題になったこともある。
こうした状況なので、韓国のチキン産業の規模は、2002年には3,000億ウォンだったのに、11年には3兆1,000億ウォンとなるほど大きく成長。フランチャイズランキングのなかで、チキンは1位となるほど、チキン店の開業需要は多い。
しかし、去年の統計を見ると、状況はそれほど単純ではない。チキン店全体の14.5%にあたる3,980店が新しく開業する一方で、全体の10.2%にあたる2,973店が閉店を余儀なくされている現状があるのだ。こうした厳しい状況のなかでもチキン店が増えていく背景には、韓国経済の裏事情が隠されているような気がする。
(つづく)
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