大戸屋HDのお家騒動は決着せず、功労金2億円支払いに創業家は白票投じる(後)
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今回のストックオプションは、店舗の店長など現場の従業員が対象。従業員のやる気を引き出すのが狙いだ。業績が向上し自社株が値上がりすれば、保有株を売却して利益を得ることができる。
従業員にしてみれば、せっかくボーナスを得られる絶好のチャンスだったのに、創業家の反対で潰された。従業員たちが、創業家に良い感情を持つことはないだろう。創業家が従業員の利益になるストックオプションに反対したのかわからない。権利がすべて行使されれば、発行済み株式数が12万株(1.7%)増えるため、創業家の持ち株比率を減らすのが経営陣の狙いと受け取ったのかもしれない。
創業家は保有株を売却する
それでは、創業者は創業者への2億円への支払いに賛成しなかったのか。東洋経済オンライン(2017年6月30日付)は「大戸屋創業家が会社提案に『反対』したワケ」と題して、こう報じている。
〈総会後、東洋経済の取材に応じた創業家の智仁氏は「(功労金と弔慰金の)金額に納得していない以上、賛成票を投じることはできない」とし、この2案については白票を、取締役の選任とストックオプションには反対票を投じたと説明している。
相続税の支払いのため、大戸屋株を担保に銀行から融資を受けたが、返済には2億円では足りないためだ。
創業家は今後について、創業家側は「株は保有し続けられるに越したことはないが、主人は“自分に何かあったら株を売れ”とも言っていた」(三枝子氏)
智仁氏も「功労金を受け取るかどうかも含めて代理人と協議して決めたい。会社をいい方向性に導いてくれる先に売却することも考えていきたい」と話す。〉会社側は、一時、8億円の功労金の支払いを検討していたものの、あまりに巨額すぎると撤回したため、創業家が反発するきっかけの1つとなった。創業家側は相続税を支払うため、相続した株式を担保に銀行融資を受けている。功労金が2億円では、融資の返済に充当できない。融資の返済期間を考慮し、保有株の売却を検討しているというわけだ。
智仁氏が協議して決めるとしている創業家の代理人は、正木烝司(まさき・じょうじ)氏だ。正木氏は緑化工事会社、(株)泰正の社長。この表の顔よりも、政財界にまたがる幅広い人脈を活かした大物フィクサーとして知られる。父親は「アラビア太郎」と呼ばれたアラビア石油(株)創立者の山下太郎氏だ。
保有株式の全株を売却すれば創業家は大戸屋の経営から退くことになる。売却先が大手外食会社か投資ファンドになれば、大戸屋にとってかえってややこしいことになる。経営側としては、創業家との対立を解決して、経営に専念したいところだろうが、お家騒動の火種は消えることはない。(了)
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