電子の目であるイメージセンサー(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
私たちの日常生活では、さまざまな機器や設備に各種のセンサーが数多く活用されている。とくに現在のスマホ(スマートフォン)では、センサーなしではその機能を十分発揮できないくらい、スマホにとって欠かせないコア部品である。センサーは今後、さらにいろいろな分野への普及が進み、社会を下支えする縁の下の力持ちのような存在になるだろう。人の手を介さずに、機器同士がデータをやり取りするIoT(モノのインターネット)や、各種センサーから送られてくるデータを蓄積して分析するビッグデータの解析などを考えると、センサーの重要性はますます大きくなるのは間違いない。
現在、生活のなかで活用されているセンサーの事例を挙げるならば、自動ドアには人の接近を探知する人感センサーが搭載されているし、オーブンレンジには温度の制御を行う温度センサーが活用されている。今後、自動運転車には、周りの状況を測るセンサーが多く搭載され、車間距離や周囲の人や物体などの把握を行うことになる。1台の自動運転車には30個くらいのセンサーが必要とされるとのことだ。センサーはこのように、私たちの知らないところで、私たちの生活を支えていくことになる。だが、センサーが今後、もっと活用されるためにはいくつかの課題もある。低コスト化や消費電力の低減、小型化などの実現などだ。
今回は、センサーのなかでも“電子の目”として使われる、電子機器のキーデバイスのイメージセンサーに絞って、市場の動向と今後の展望を見てみよう。
電子の目としてのイメージセンサーは、映像を扱うさまざまな電子製品に搭載されている。写真やビデオ撮影ができるデジタルカメラやビデオカメラをはじめ、テレビやパソコンなどの機器は、イメージセンサーの性能によって表示する写真や動画の画質が左右される。イメージセンサーとは、カメラなどのレンズから入った光を電気信号に変換する電子部品である。人間の目でいえば網膜に相当するデバイスで、イメージセンサーの性能によって写真や動画の画質は決められる。イメージセンサーは半導体であるが、代表的なシステム半導体の1つである。
イメージセンサーには、大きく分けて2種類ある。「CMOS」(Complementary Metal Oxide Semiconductor、相補性金属酸化膜半導体)という方式と「CCD」(Charge Coupled Device)という方式である。
以前は、高級機には「CCD」が使われることが一般的だったが、今は技術の進歩によりその格差も縮まり、「CMOS」がほぼ主流になっている。画質は「CCD」方式が有利とされているが単価が高く、消費電力も「CMOS」に比べて多いため、スマホなどでは、「CMOS」のイメージセンサーのみが使われるようになっている。かつての「CMOS」はノイズが多く、感度が低かったが、画期的な技術が開発されることにより、ノイズは減り、室内や暗いところでも撮影できるくらい「 CMOS 」方式は感度が向上している。それから方式だけでなく、イメージセンサーの物理的なサイズも、画質を左右する重要な要素である。イメージセンサーのサイズは大きければ大きいほど、光を多く集めることができるため、写真が明るく見えやすくなる。イメージセンサーのサイズは、具体的には「1/1.83」「1/1.6」「1/1.2」などがあるが、「1/1.2」が一番良い画質になる。
それから最後に、よく耳にする解像度を表す画素数だが、画素数はサイズとのバランスが大事である。サイズは小さいのに画素数だけが大きくなっても、データの容量が大きくなるだけで、画質自体は向上しない。
VR(バーチャル・リアリティ)や医療分野、エネルギー、交通など、イメージセンサーが活用される分野は拡大している。日本はセンサーで世界をリードしており、とくにイメージセンサーではソニーが、競合各社を一歩も二歩もリードしている。
(つづく)
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