もはやアメリカに学ぶものはない?小売業最先端アメリカの実像(5)
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グランド セントラル マーケット(Grand Central Market)
『四十二番街』としてミュージカルや映画でも有名な42thストリート。ミッドウェイの中心部を抜けるこの通りにあるグランドセントラル駅の1階に、質の高いフードショップがある。
パン屋、花屋、生ハム、サラダ、チーズ専門店、魚屋、肉屋。とにかくここには何でもある。いわゆる「デパ地下」の風情だ。アメリカのデパートには食品売り場がないのでこんな組み合わせは珍しい。さすがにニューヨークだ。ウイークデーの朝夕は通勤客でごった返す大きな駅だが、ファッションや化粧品、レストランなどいろんな店が入っているのでニューヨーカーだけでなく観光客の姿も多い。
駅前に両手に障害を持つ若いパフォーマーがいた。彼は手作りの太鼓を見事なリズムで叩き、道行く人の目を誘っていた。その足下から少し離れた所に置いた箱にはかなりのクウォーターや1ドル札が入っている。段ボールに「ホームレスです。お助けを」と書いているだけの消極的なベッガーに対しては、さすがに寄付が習慣として存在するアメリカでも小銭を与える人は少ない。恵みのカネが少したまったら、それをかき集めてテイクアウトの食事を買うベッガーと違って、パフォーマーの彼はきっと店じまいの後、結構豪華な食事にありつくことは明らかだ。「make a difference」その昔、ハドソン河畔でIBMのロゴとともに目にしたこの言葉が頭に浮かんだ。
手作りのパーカッション演奏で稼ぐパフォーマー。観光客、地元のニューヨーカー。駅にはいろいろな形と人生がある
小ぶりだが新鮮なオイスター。地下にはこのほかにもたくさんの飲食店がある
(つづく)
<プロフィール>
神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を経て、現在は流通アナリスト。関連記事
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