民間でもトップランナー!国難の空き家問題に取り組む(1)
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(一社)全国空き家バンク推進機構 理事長 樋渡 啓祐 氏
樋渡啓祐氏が佐賀県知事選でよもやの敗戦を喫してから2年半が経過した。負けた当初は「途方に暮れた」というが、即座に樋渡社中株式会社を立ち上げて地方創生に向けた活動を開始。積極的に講演活動を行うほか、政府系ファンドである地域経済活性化支援機構社外取締役や関西学院大学客員教授など活動のウイングを広げてきた。
その樋渡氏が、次に取り組むのが「空き家問題」。不動産情報サイト「HOME’S」を運営する(株)LIFULL(ライフル、旧(株)ネクスト)が今年9月から始動する国交省モデル事業「LIFULL HOME’S 空き家バンク」と提携し、新たに(一社)全国空き家バンク推進機構(ZAB)を設立。820万戸に上る空き家問題を「国難」と捉えて、3年でその半分を流通させると意気込む。官公庁や全国の首長に加え、民間にも広げたネットワークを有する樋渡氏ならではの役割が期待されている。既存の業務が一巡したとはいえ、多忙を極めるなか持てる精力を傾けて取り組む決意について語ってもらった。(聞き手:弊社代表取締役 児玉 直)
地元のフリーターで情報収集
――空き家問題に取り組むようになったきっかけは何ですか。
樋渡氏(以下、樋渡) 今から半年くらい前になりますが、「HOME’S」を運営しているLIFULLに、国交省が空き家対策としてデータベースの作成に取り組むという話を聞きました。しかも、LIFULLは本気だと。しかし、所有者がわざわざ空き家を登録していくには、さまざまな問題があります。そのことについて相談を受けた僕は、「どこにも所属していない、政治家でもない、企業経営者でもない、色の付いていないフリーターにやってもらえればどうか」と提案しました。
――地元の人間なら、地理にも明るいでしょうしね。
樋渡 ええ。なおかつ、その切り回しは、自治体の文法をわかっている人間かつ官邸でも中央官庁でも臆せずモノを言える人間でないと無理だと言ったんです。すると、LIFULLの井上高志社長が、「その適任者はいますね。私の目の前に」と、私をご指名(苦笑)。ただ、私も当時寝る時間がないくらいに多くの仕事を抱えていたのですが、空き家問題を解決しない限り、明日の日本、未来の日本はないと市長時代から思い続けていたので、「受けます」と即答しました。ただ、後の仕事の整理がめちゃくちゃ大変になるというのは夢にも思わなかったですね。今は、空き家問題に70%は傾注できるようになっています。これからももっとその割合を増やしたいですね。
――その仕事を請けようと思ったのは。
樋渡 空き家問題というのは、国難といっても過言ではない大問題です。これに取り組むのは、男子の本懐ではないかと思いました。
――しかし、悪い日本の習性ですね。新しいものはどんどんと建てて、それで産業が成り立っている。
樋渡 社長のおっしゃる通りで、日本の悪い部分が住宅に出ているんですよ。しかも今、データを聞いてビックリしたのが、13.5%が空き家になっています。国交省は新規住宅をどんどん認めていて、郊外にどんどん住宅が建ってきた。その一方で、中心部には空き家が増えている。それは都会も田舎も関係ない話になっています。それで、遅きに失した感はありますが、国交省が手を打たないといけないと覚悟したのではないでしょうか。私は、国難の折、国策に協力するのも1つの生き方だと思っています。
(つづく)
【文・構成:山下 康太】<COMPANY INFORMATION>
(一社)全国空き家バンク推進機構
代 表:樋渡 啓祐
所在地:東京都千代田区平河町2-5-3
設 立:2017年6月
URL:http://zab.or.jp
E-Mail:info@zab.or.jp関連キーワード
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