2024年12月23日( 月 )

九州北部豪雨の爪痕(5)~元気になった姿をまた見に来てほしい

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 九州北部豪雨により甚大な被害を受け、現在休業を余儀なくされているガーデニングショップ「四季の里」の朝倉本店。被害は、流されてしまった植木や荒らされた庭園だけに留まらない。園に残された植物も今の状況では充分な世話をする余裕がないため、このままではすべて枯れてしまうおそれのある危機的状況に陥っていた。
 そんな同社の苦境を救ったのが開業当初から同社を支える根強いファンと地元住民の存在だ。

 「店内に残った植物もありましたが、事務所や従業員の家も大きな被害を受けていたため、植物の世話までは手がまわらないような状況でした。生きている植物をこのまま枯らしてしまうのは、私たち生産販売側にとっては本当に心苦しいものです。
 そこで、残った植物を半額以下の値段で提供し、また、ケース売りさせて頂くことをネット上やSNSでご報告しました。すると、すぐに地元の方や県外のお客様も足を運んでくださり、おかげ様でほとんどの商品が無事にお嫁に行くことが出来ました」(窪田造園(株)窪田望専務)

四季の里に流れ込んだ土砂

 

半額で売られる植物

 

 7月10日から臨時で開業していた「四季の里」朝倉本店は、23日から再び休業に入る。造園設計部は通常営業を行うが、「四季の里」が再開するのは10月上旬の予定だ。

 「復興までにはかなり時間が掛かると思います。今回の土砂によって土が固まってしまった場所や、根腐れしてしまった樹木、泥がこびりついて枯れた草木など……被害は言い出したらキリがありません。それでも、私たちにできることを一つずつやっていかないと。10月、皆さまに元気な植物と私たちの姿をお見せできるよう頑張ります」(同)

土砂が干上がり固まった土

 

枯れた木に目を落とす窪田社長

 

 九州北部豪雨から3週間。現状では大量にたまった土砂や流木などの撤去作業も終わっておらず、復旧への道のりは遠い。
 しかし、それでも被害にあった住民たちはみな前を向いて一歩一歩進んでいた。水害の爪痕は色濃く残り、以前のような日常が戻るのはまだ先だ。それでも、地域住民のたくましい姿にやや光が見え始めている。

(了)

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