2024年11月16日( 土 )

不二越会長の「富山育ちは採らない」発言~誰も触れない都会人と地方人の感情的対立(前)

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 富山市で創業し、富山市に本社を置く東証一部の総合機械メーカー(株)不二越の本間博夫会長が、「富山生まれの人は採らない。閉鎖的な考え方が強い」と発言して物議を醸した。この騒動には、都会人と地方人の感情的対立が根柢にあるが、その話題に関しては皆、避けたがる。

富山県人は閉鎖的な考えが強い

 不二越は7月5日、富山市の富山商工会議所ビルで2017年5月中間期の決算発表を行った。本間会長は、富山と東京の2本社体制から、8月に本社を東京に一本化すると発表。その理由について、問題発言が飛び出した。
 地元の北日本新聞が7月13日に報じた。発言内容を引用する。

〈不二越は2020年に(売上高)4千億円を目指しており、うち約4割をロボットで担おうとしている。大きな飛躍を担う中で必要なのは、ソフトウエアの人間だ。特に不二越は機械メーカーのイメージが強く、富山にはまず来ない。富山で生まれて幼稚園、小学校、中学校、高校、不二越。これは駄目です、駄目です。変わらない。
ことしも75名ぐらい採ったが、富山で生まれて地方の大学に行ったとしても、私は極力採らないです。学卒ですよ。地方で生まれて、地方の大学もしくは富山大学に来た人は採ります。しかし、富山で生まれて地方の大学へ行った人でも極力採りません。なぜか。閉鎖された考え方が非常に強いです。偏見かも分らないけど強いです。
閉鎖的な考え方が強いです。いや優秀の人は多いですよ、富山の人には。だけど私の何十年、40年くらいの会社に入ってからの印象は、そういう印象が強いです。ですから全国から集めます。ただしワーカーは富山から採ります。〉

 1928(昭和3)年に富山市で誕生した不二越。本社を富山市に置き、社員の8割は富山出身者だ。その企業のトップが、「富山県人は閉鎖的な考えが強いので大学卒は採らない」「富山出身者はワーカー」でいいと言い放ったのだ。

 地元経済界や学校は、「富山県民を侮辱している」と怒り心頭。富山県と富山労働局が、「本人の適性や能力を基準に公正に採用するよう」要請を出す異例な事態に発展した。

 本間会長は7月25日、不二越のホームページで「発言の一部に不用意で不適切な発言があった」と謝罪した。

(つづく)
【森村 和男】

 
(後)

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