世界遺産登録の沖ノ島、神聖性の担保と観光振興の両立はいかに?
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7月9日、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界遺産に登録されることが決定した。構成資産のうち目玉ともいえる「沖ノ島」は、“神宿る島”として古代から篤い信仰により守られてきた島であり、今でも女人禁制の伝統が守られているほか、男性でも毎年5月27日に開催される「現地大祭」以外での上陸は基本的に許されていない。この禁忌に包まれた沖ノ島の神聖性をいかに保てるかが、世界遺産登録後の最大の課題でもあった。
しかし、沖ノ島を所有する宗像大社は7月15日、参加者の一般公募を来年以降行わない方針を決定。今回の決定については、登録を受けての保全の取り組みを強化するためとしているが、これで一般市民が沖ノ島に上陸できる機会はなくなることになる。7月中旬に宗像大社辺津宮に訪れてみたところ、いつもよりは参詣客が多かったものの、世界遺産に決定した直後にしてはやや盛り上がりに欠ける印象を受けた。隣接する「海の道むなかた館」も同様の状況。まだ決定直後で、宗像大社や周辺施設に人を惹きつけるコンテンツが充実していないことも、その一因と思われる。
たとえば、2015年に「明治日本の産業革命遺産」の1つとして世界遺産に登録された「三重津海軍所跡」(佐賀市)では、当時の様子をイメージしたCG映像をVR(バーチャルリアリティ)機器等で体感できるようなコンテンツを有している。沖ノ島が上陸できない島だからこそ、こうしたVR等の活用なども一考の余地があると思える。また、沖ノ島と同じく玄界灘に浮かぶ「大島」にある宗像大社中津宮や沖津宮遥拝所などについても、これまで以上に周辺のインフラ整備なども含め、今後の活用の方策を模索する必要があるだろう。今後、周辺のインフラ等の整備も含めて、世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」がどのような盛り上がりを見せるのか、気になるところだ。
【坂田 憲治】
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