生鮮特化型のスーパーを目指し悪戦苦闘(前)~(株)新鮮マーケット
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(株)新鮮マーケット 木本 泰雄 代表取締役社長
リテールパートナーズ傘下の(株)マルミヤストアが事実上の救済合併を行い、再出発した(株)新鮮マーケット。「新鮮市場」の(株)オーケーから店舗を承継し、昨年7月の稼働から1年が経過した。これまでの取り組みとこれからについてうかがった。
収益体制から整えた再建
――オーケーから店舗を承継されて1年が経過しました。お店の屋号は「新鮮市場」で変わりませんが、内部での取り組みは大きく変わられたと思います。
木本氏(以下、木本) この1年間は、勝ち残って行くためにはどうすれば良いかを常に考えていました。オーケーさんの良いところと、マルミヤストア(以下、マルミヤ)の良い部分をどのようにすれば上手にミックスできるか。14店舗を承継したのですが、店舗の収益構造を分析するうえで、まずは一部テナントで運営されていた青果を全店直営に変えました。精肉4店舗、惣菜6店舗を直営に変えて、収益体制を整えることから始めました。
――直営化されてどうでしたか?
木本 実際やってみると、いろいろと課題が見えてきました。オーケーさんでは、青果は一部テナントで原則パートタイマーでの運営であったため、青果担当者がいませんでした。承継から3カ月後の10月に人事をシャッフルしまして、新たに男性社員を青果担当にしました。屋号は「新鮮市場」ですから、生鮮の強いスタッフを育成しようという方針を打ち出しました。
――新たな課題と目標が見つかったのですね。
木本 生鮮特化型で生き残るためには人の育成しかない。そう思って、店長を除いた幹部社員の多くを青果担当に就けて、青果のことを徹底的に勉強させていますね。
――青果は、収益構造の改革につながりますよね。
木本 担当には“鮮度と品質を徹底せよ”と指示を出しました。当時は青果の高騰もあったのですが、如実に数字に表れ、すぐに1.4~1.5倍の売上に跳ね上がりました。生鮮スーパーを極めるのはまずは青果という持論を持っていたのですが、それはまずまずの滑り出しです。
――青果以外のカテゴリーはいかがですか?
木本 惣菜担当はマルミヤからの出向者を課長とし、精肉はマルミヤの課長が兼任して基盤づくりを行っています。一から建て直しを行っているので、いろいろと手さぐりでやっていますね。
――マルミヤの池邉社長は御社の経営に口を挟まないと聞きました。
木本 基本的に任せてもらっています。池邉社長からは、「思うようにやってください」と言われていますが、逆にそれがプレッシャーになっています(笑)。
――しかし、意思決定が早いのは、再建スピードを加速させますよね。
木本 たしかにそうですね。14店舗ですので、できるだけ即決で物事を進めております。意思疎通を図るため、店長とは別に幹部らを集めての営業会議を毎週やっております。店長会議では会社の流れ、店舗ごとの損益をすべて公表しています。すべてをスケルトンにすることが再建への突破口になると思い、細かい情報もできるだけ落とし込んでいますね。
――そこまでやられているのですか。
木本 会社の方針を、スピードを持って店舗に落とし込むことで、本部と店舗の距離が縮むほか、地区長、部門長の教育にもつながると思っています。まだまだ進行中ですが、いろいろなことにチャレンジしていますね。また、生鮮強化に向けて青果・惣菜・精肉の担当者会議も行っています。密に方向性を確認し合い、皆がわかるように意見を交換しています。まだまだ100%とまではいきませんがね。
――まさに人材育成ですね。大手でもそこまではやらないと思います。
木本 小さいからこそできると思います。中長期的には時間がかかりますが、コミュニケーションを重視しています。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:木本 泰雄
所在地:大分市大分流通団地2-2-2
設 立:2016年4月
資本金:5,000万円
売上高:(17/2)約56億円(実働8カ月)<プロフィール>
木本 泰雄(きもと・やすお)
1953年7月23日大分県生まれ。95年6月(株)マルミヤストア入社。2005年11月マルミヤストア執行役員となり、10年8月取締役店舗運営部長・開発部長を経て、16年4月(株)新鮮マーケット代表取締役社長に就任した。関連キーワード
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