ヨシヒコのぶらり漫歩シリーズ・南北海道は冷夏なり(3)~外国人様様(前)
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ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパ、あー絶景なり
2008年洞爺湖サミットが行われたが、その拠点がザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパである。海抜640メートルに軍艦がそびえているようなホテルだ(写真参照)。「なぜ?山頂にホテル?」という凡人のゲスの勘繰りが先行する。ホテルに立てば一目瞭然。南を向けば眼下に太平洋が広がり、北を向けば洞爺湖が見下ろせる立地条件であることを知ることになる。最初、この場所に建設することを決断したオーナーの見識にはカブトを脱ぐ。しかし、このホテルの歴史は平坦なものではなかった。
北海道拓殖銀行倒産の引き金になった
ザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパは、北海道虻田郡洞爺湖町にあるホテル。洞爺湖温泉観光の中核設備である。同リゾート施設の前身は、建設・不動産のカブトデコムの関連会社エイペックスが北海道拓殖銀行から約650億円の融資を受けて建設、1993年5年に開業した会員制高級リゾートホテル「エイペックスリゾート洞爺」。この拓殖銀行はえらくカブトデコムに肩入れした。
しかし、バブルの崩壊によって北海道拓殖銀行が経営破綻した影響でエイペックスも破綻した。負債総額は949億円に上った。1998年3月にホテルは閉鎖されたが、2000年にセコム(東京都渋谷区)子会社の十勝アーバンプロパティーズが60億円で買収、200億円をかけて改装し、02年にザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパとして営業を再開した。02年から一時期は、世界的なホテル協会「ザ・リーディングホテルズ・オブ・ザ・ワールド」(LHW)に加盟していた。
08年には北海道洞爺湖サミットの会場となり、道内屈指の高級ホテルとして全国的な知名度を高めた。14年、セコムは、土地・建物と保有株式を全て売却し、明治海運(本社・兵庫県神戸市)がホテルを所有し運営を継承している。ここに至るまでのホテルの経緯は惨状の一言であった。この4年間ほどでようやく好転の兆しがでてきた。外国人旅行者の増大によるものだ。まさに外国人さまさまである。
最初の親会社・カブトデコムは結局潰れた
以下にカブトデコムの概要を示す。
本社所在地:北海道札幌市西区平和2条6-1-1
設立:1971年4月
資本金:1億円(2012年3月)
発行済株式総数:27,590,843株カブトデコムは、北海道札幌市にあった建設会社でバブル景気の波に乗り、大規模なリゾート開発を手掛けていた。北海道拓殖銀行は同社を積極的に支援していたが、バブルが崩壊し、不動産業は冷え込んだ。北海道拓殖銀行の過大な支援のもと、事業を拡大してきたことが裏目となりカブトデコムは1,000億円ともいわれるほどの多額の不良債権を抱えることとなる。バブル崩壊後も事業を継続していたが、2008年の事業報告書によると売上高は1,200万円、一方、未処理損失額は約4,000億円にのぼっていた。13年2月28日に臨時株主総会が開催、会社解散が決議され、同年4月25日、札幌地方裁判所より特別清算開始決定を受けることとなった。
現在の親会社は手堅い
現在、同ホテルを保有している明治海運は手堅い経営が特徴だ。同社は兵庫県神戸市中央区に登記上の本社を置く海運会社である。現在は東京都にある東京本部が本社機能を担う。1992年からはホテル事業も手掛けている。海運、ホテル事業のほか、不動産事業や貸しビル事業などを手掛ける。
ホテル業はザ・ウィンザーホテル洞爺リゾート&スパのほかに、ラグナガーデンホテル、ニセコノーザンリゾート・アンヌプリ、ANAクラウンプラザホテル稚内、シーサイドホテル舞子ビラ神戸をグループで運営している。
<COMPANY INFORMATION>
明治海運(株)
本社所在地:兵庫県神戸市中央区明石町32
設立:1911年5月
資本金:18億円(つづく)
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