2024年12月23日( 月 )

『脊振の自然に魅せられて』福岡市で唯一の渓谷「野河内渓谷」を甦らせよう(6)

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放置竹林から「カワセミの森」へ再生(1)

 野河内渓谷入り口横には、渓谷と平行して広大な、うっそうとした孟宗竹林が放置されていました。孟宗竹の放置林は全国的な問題であり、手入れがされてない竹は生き延びるために縦へ、横へ伸び放題です。竹が建築材料や炭として使用されていた時代は、伐採などの手入れがなされ、木もれ陽が入り美しい竹林を見ることができていました。

 北九州の合馬のタケノコは高級タケノコとして有名ですが、その竹林には人の手が入り、美しい里山となっています。

 2012年、野河内渓谷沿いの放置竹林を伐採して、「彩りのある野河内渓谷へ」というコンセプトを基に、再生計画を立てました。このエリアは福岡市水道局の水源林であり、勝手に伐採はできません。

 13年12月8日、伐採計画を水道局の立ち会いのもとで現場確認をしました。伐採面積は4.3haと 広大な孟宗竹の放置竹林です。伐採費用は林野庁の「森林・山村多面的機能発揮に関わる交付金」を申請し捻出しました。

 13年9月7日 第1回の伐採は福岡林研クラブの皆さん、糸島林研クラブの吉村会長が参加してくれました。生い茂る竹は切っても切っても減ることを知らないように、平地から山手まで続いていました。

 作業に当たっては、竹が倒れて作業員が怪我をしないよう警告用のホイッスルも準備されました。作業時には竹を倒す方向を見極めるなど、細心の注意が払われました。根気にいる仕事でしたが、プロの作業により少しずつ空が明るくなり、地面が広がってきました。

 竹を倒した後の処理も大変です。竹を一定の長さに切って保管場所を確保しなければなりません。竹の杭を打ち、竹を重ねて保管場所を作りました。竹の山があちらこちらにできて、膨大な竹のストックができていきました。

 14年4月1日には事業拡大のため、福岡市水道局と「脊振の自然を愛する会」で再生計画の協定書を締結しました。協定書締結により、事業は軌道にのっていきました。

 同じ様な作業を何度も行ない、ユンボや竹チップの機械も搬入し、孟宗竹林は荒れた山地へと変化していきました。竹の処理が膨大となり、多くの人手が必要でした。西南学院大ワンゲル部の後輩たちに、竹の運搬応援を頼む事もありました。

 処理対策として、知人に薪ストーブ用の燃料として買ってもらったり、竹炭窯に竹炭用として使用してもらったり、福岡市のゴミ処理センタ−に持ち込んだりして積み上げられた竹を減らしていきました。運送費は想像以上にかかりました。また、切り倒した竹も水道局にとっては財産ですから、処理申請も必要でした。竹は切り倒してからが本当に大変でした。

 この整備はうっそうとしていた放置竹林が「彩のある森」として甦らせる第1歩でした。そして、このエリアを「カワセミの森」と命名しました。

 この後、自然観察会の開催、植樹活動へと展開して行きます。

福岡市水道局の立会い 2013年9月

チェーンソーによる切り倒し作業開始  2013年9月

伐採作業 少しずつ森が明るくなってきました

2017年8月22日記
脊振の自然を愛する会 代表 池田友行

 
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