2024年12月24日( 火 )

九州地銀の2018年3月期(第1四半期)決算を検証する(2)

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1.九州地銀の収益力について

 【表1】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の2018年3月期第1四半期の経常収益順位表である。経常収益は、一般企業における売上高にあたるもの。

この表から見えるもの

 トップの福岡銀行以下、西日本銀行、肥後銀行、鹿児島銀行、5位の大分銀行までは順位の変動はなかった。上位行の内容を見ていくことにする。

<福岡銀行>
 営業収益は、前年同期比▲67億8,500万円の418億円(▲13.9%)と2ケタ台の減収。しかしその中身を見ると、業績は大幅に改善しているのがわかる。
 【表2】を見ていただきたい。17年3月期第1四半期は、日銀のマイナス金利政策の影響を受けて収益環境が悪化。そのため債券売却益により特別勘定収益計(C+D+E)で19億円を計上。何とか前期比+4億5,800万円として辻褄を合わせたようだ。
 しかし18年3月期第1四半期の貸出金利息は前期比+5億9,000万円。有価証券配当金利息も前期比+7億2,700万円。また役務収益も前期比+5億8,400万円で、主要三勘定は前期比+20億9,200万円と大きく増加。そのため昨年のように、決算対策のために債券売却や株式売却による益出しをすることなく、▲88億7,700万円のままで、当面は様子を見ようとしている。

 ふくおかFGは17年3月期、熊本銀行と親和銀行の経営統合にともなって発生した負ののれん代の残り948億円を一括償却。そのため、親会社株主に帰属する当期純利益は▲543億円を計上し赤字決算となったが、18年3月期第1四半期の三勘定が順調なことから、18年3月期の通期決算には自信を持っているようだ。

<西日本シティ銀行・肥後銀行・鹿児島銀行・大分銀行>
 西日本シティ・肥後・鹿児島銀行は、経常収益はマイナスとなっているが、益出しはせず様子見のようだ。大分銀行は前期比+2億3,900万円となっているが、特別勘定収益に見合うものとなっている。ただ主要勘定の1つである貸出金利息収入は、4行ともマイナスとなっているのが目につく。

<宮崎銀行・十八銀行・佐賀銀行>
 宮崎銀行の経常収益は前期比+11億1,500万円の141億円。十八銀行と順位が入れ替わり6位に躍進。増加額も九州地銀(18行)のトップだが、中身を見ると特別勘定収益の10億円によるもの。
 十八銀行と佐賀銀行の営業収益は、特別勘定収益のマイナスによるものであり、やはり上位地銀と同様に、様子見の決算となっている。中間決算(18年3月期第2四半期)は、個別に何らかの動きがあるものと思われる。

 貸出金利息が増加しているのは福岡銀行、北九州銀行、佐賀共栄銀行の3行のみ。やはり日銀のマイナス金利政策は九州地銀にとって大きな打撃となっているようだ。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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