2024年12月04日( 水 )

ヨシヒコのぶらり漫歩シリーズ・南北海道は冷夏なり(6)~新千歳空港と福岡空港の売上の差は倍以上

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レンタカー場の広さは100倍

 新千歳空港に行けば、誰もが後代に広がるレンタカー営業所に驚かれることであろう。空港ターミナルからおよそ2.5km外れたところに、広大なレンタカー団地が広がっている。7社か、8社ある同業者たちは空港に降りたお客をバスで拾いにやってくる。5分間隔で迎えに来るのである。それだけレンタカー利用者が多いということであろう。所要時間10分でレンタカー団地に到着するとびっくり仰天、広大な敷地に出会うのである。

 聞くところによると、このレンタカー団地は新千歳空港(北海道空港(株))が開発したものであり、各レンタカー会社へ貸与しているのだ。トヨタレンタカーだけでも在庫車数は500台以上揃えているという規模だ。他のレンタカー会社を含めると、優に1,000台を超えるだろう。信号がある交差点に立っていると、貸し出された車が1分間隔で北海道各地の観光地(一部ビジネス用もあるが)に向けて発車している光景を目撃できる。

 15日、福岡空港に到着してレンタカー各社の設備状況を調べた。国内線から降りた東側を県道が走っている。その道路沿いにレンタカー各社が店を構えているが、いかにも貧弱すぎる。この格差は何か。一言、バックヤードの差である。福岡空港にはそのバックヤードを設置するスペースがない。ビッグビジネスのチャンスを逸しているのだ。だから下記の通りに、福岡空港ビルディング(株)と北海道空港(株)の売上が倍以上開いているのである。利用する客数はお互いに2,200万人台で拮抗している。20万人程度、福岡空港の方が多いのにかかわらず売上は半分以下なのだ。

飲食店・販売店の充実

 「15日はお盆の最終日である。お客が多いであろう」という判断の下に予定離陸時間の3時間前に新千歳空港へ到着した。いやー驚いた。機内預けの荷物を持って、300人ほどの旅行客が並んで混雑している。2時間半待ちのお客たちであると聞いて驚いた。こんな込み合いでは「福岡空港ではとてもじゃないが、捌けないな」と落胆した。荷物預けしたお客たちが次にやることは、食事や買物で時間を潰すことしかない。

 時間はちょうど午後1時前である。食事時間だ。どのレストランも満員で、10名ほどが並んでいる。中を覗くと食事は終わっても時間消化のためにテーブルに座っている客が多い。だから回転が鈍い。この時間に空いている食事屋は来年の今頃には閉店、他のテナントへチェンジしていることであろう。福岡空港の飲食コーナーの規模ではとても捌くことは不可能である。

 売店に移動した。新千歳空港売店の商品構成の特色は明確だ。(1)まず蟹を筆頭にした海産物及び加工品コーナー、(2)トウモロコシなどの農産物コーナー、(3)北海道名産のお菓子類と、この3分類で売上の80%を占めるであろう。そしてこの土産品コーナーに、飲食店コーナーに劣らずにお客が殺到しているのである。福岡空港ではこれだけの客数を滞在させるほどの店舗面積は無い、狭い。自らビジネス機会をロスしている。

 新千歳空港は滑走路2本、福岡空港はあと7年で2本目の滑走路が完成する。しかし、離発着数は30%しか増えないとか。近未来にはまたまた障害となる事態が予想される。場当たり的な増築増築を繰り返す福岡空港建設には明るい未来はない。民営化になれば民間の英知で多少は改善する余地はあるだろう。それでもバックヤードの後押しが期待できない立地条件では、福岡空港と北海道空港との間の事業格差は広がるばかりである。

(了)

 
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