九州地銀の2018年3月期(第1四半期)決算を検証する(5)
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3.九州地銀(18行)の貸出金について
(1)貸出金残高順位表
【表1】を見ていただきたい。九州地銀の貸出金残高順位表である。
この表から見えるもの
◆前期からの順位の変動はなかった。トップは福岡銀行で8兆9,579億円(前期比+326億円)。総預金はすでに10兆円を超えており、この流れで行けば貸出金も、第3四半期(17/12月期)までには9兆円の大台に到達するものと見られる。
・3位の肥後銀行は昨年4月14日に発生した熊本地震の影響だろうか。貸出金は前年同期比+2,474億円。今期も前期比+615億円の3兆1,225億円となっており、復興資金需要は今も続いているようだ。
◆【表2】を見ていただきたい。九州地銀における単独行の貸出金残高推移表である。
・増加している銀行は十八銀行と佐賀共栄銀行の2行しかない。宮崎銀行や大分銀行だけではなく、下位の多くの銀行も3月の期末に無理して貸出金を増加させた反動なのだろうか。第1四半期は前期比マイナスとなっている。「笛吹けど踊らず」。やはり黒田総裁の唱える日銀のマイナス金利政策は、実体経済を反映していないようだ。・問題は7位の十八銀行。前年同期比+1,163億円だがその中身を見ると複雑だ。7月25日、十八銀行とふくおかFGは「経営統合」の無期延期正式発表。
しかし17年6月期(第1四半期)の十八銀行の貸出金は17年3月期の1兆5,165億円から+1,226億円の1兆6,391億円と、わずか3カ月の間に大幅な増加となっている。いったいこの貸出金の増加は何なのだろうか。8月7日に決算短信を発表しているが、それについては何も触れていない。【表3】は十八銀行の貸出金残高の推移表である。この表から見えるのは、6月末の時点ですでに、ふくおかFGとの経営統合が破綻していたことを示すものだったといえるのではないだろうか。
(2)九州地銀(18行)の預貸率表
【表4】を見ていただきたい。九州地銀の預貸率順位表である。
この表から見えるもの
・預貸率がトップは北九州銀行。九州における山口銀行の営業権の譲渡を受け、2011年10月3日に営業を開始した日本で最も新しい地方銀行である。収益を上げるために貸出金優先の姿勢が103.1%の預貸率に表れているようだ。
・預貸率が一番低いのは、前期まで最下位だった十八銀行と入れ替わった大分銀行で59.2%。全体的には預金は集まっても地域経済の縮小により、それに見合う資金需要がないという証ではないだろうか。
(つづく)
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