300人を超える『台湾大好き』人間が集合!
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9月8日に台湾・行政院長(首相)の頼清徳(前台南市長)新内閣が発足した。金融監督管理委員会や国家発展委員会の各主任委員など8人が交替、閣僚の大半は留任した。
8月15日の「台湾大規模停電」の責任をとって辞任した李世光・経済部長(経済相)の後任には、沈栄津氏が就任した。頼行政院長、沈経済部長とも知日・親日派と言われている。
前日の7日には「2017年台湾最新ビジネスセミナー」(主催:台湾経済部工業局、台北駐日経済文化代表処、台日産業連携推進オフィス(TJPO))が東京港区海岸のベイサイドホテル アジュール竹芝で開催された。会場には、日台OB会ネットワークの会員約100人を中心に300人を大きく超える“台湾大好き”人間が集合した。TJPO設立以来、台日は多くの互恵的な機会を持った
開会挨拶に立った峯岸進日台OBネットワーク会長(TJPO・東京常勤特別顧問、台湾Sony元董事長)は日台OBネットワーク(※1)の設立主旨及び最近のTJPOの活動に触れた後、昨年のセミナー(約250人)を上回る、300人を大きく超える参加者に感謝の意を表した。
これを受けて、台湾側から挨拶に立ったのは、呂正欽TJPO執行長(台湾経済部工業局副組長)である。呂TJPO執行長は2012年3月にTJPOを設立以来、台日産業交流のプラットフォームが構築され、今日まで互恵的な多くの機会を持てたことに感謝した。そして、“5+2産業イノベーション計画”(※2)などで台日間の産業連携がさらに緊密になり、また新南向政策においても、台日協力しての第3国への市場開拓に期待すると述べた。
台日関係にはまだ大きな成長の余地があると考える
続いて登壇したのは、日本通で有名なTJPO最高顧問の何美玥女史である。何女史は現総統府国策顧問で、これまで経済部長(経済相)及び経済建設委員会主任委員(現「国家発展委員会」)を歴任している。多くの日本企業の重要プロジェクトを支援、その実現に尽力した。何女史は、本セミナー及び日台OBネットワーク総会に参加できたことに感謝の意を表した上で、最近の台湾経済について述べた。
貿易統計に関しては、「2017年前半の台湾経済はとても順調です。輸出は12.5%伸び、台湾元の価値は6%上昇しました。輸入は16.5%伸び、GDPの成長率は2.39%になっています。日本からの輸入は8.5%伸びましたが、台湾から日本への輸出は4.7%しか伸びていません。台湾の全世界への輸出の伸び率と比較しても、日本への輸出の伸び率は小さいものになっています。台日関係には、まだ大きな成長の余地があるものと考えています」と述べ、日本側にエールを送った。
新内閣に関しては、「頼行政院長は台南市長時代に、東日本大震災・福島原発事故の義援金を自ら持参した大の親日派です。沈経済部長は、工業局で課長、組長を経験、日本の皆さんとも積極的な交流がありました。私の親しい友人でもあります。新体制の中で、台日の産業連携はますますよい方向に向かっていくものと思います」と述べた。
最後に、「台湾では現在産業の刷新及びエネルギー構造の刷新に務めています。AIの技術を用いて製造業の生産能力や競争力を高めていきます。またエネルギー構造に関しては、2025年までにすべての原発を廃止することを目標とし、それまでに代替エネルギーで全発電の20%を占めることを計画しています」と結んだ。
近年は日本の地方都市が台湾との連携に積極的である
続いて、TJPO・東京顧問の坂井賢司プロジェクトコンサルタントから、TJPOの活動・実例紹介と今後の展望についての話があった。日台双方の大企業や大都市が中心となって始まったTJPOであるが、次第に中小企業~地方都市~第3国市場開拓の連携(華人ネットワーク)~新産業分野進出の連携など、大きく進化してきた。特に近年は日本の地方都市が台湾との連携に積極的な傾向にある。愛媛県松山市、和歌山県、秋田県、香川県、富山県等で実績を重ねている。又、今年は九州環境エネルギー産業推進機構と共同で「2017年日台環境エネルギー産業及び商談会」を開催した。
シェア工場は日本の中小企業海外進出の“特効薬“?
休憩20分を挟んで、台湾で活躍する企業2社‐(株)日立ハイテクノロジーズの高橋伸彰氏(材料統括本部 材料戦略部 本部長)から「シェア工場のご紹介」、日本電気(株)の山田達也氏(デジタル戦略本部 兼 AI・アナリティクス事業開発本部 主席事業主幹)から「AI・IoTの活用によるビジネス現場改革」という短い講演があった。
日立ハイテクノロジーズが2018年の事業化を目指す、中小企業数社が海外で生産拠点を共有できる「シェア工場」のアイデアは興味深い。2016年が元年で、25年には世界で37兆円の市場規模になるとされる「シェア経済」の工場版と言える。現地の生産状況をIT(情報技術)導入で、遠隔監視できるのが特徴となっている。同社が立地の検討や生産設備の手配などを担い、日本のモノづくり企業が投資負担を抑えて海外事業を拡大できることを目的としている。中小企業のASEANなど海外進出の“特効薬”となり得るのかどうかが注目される。
締めを務めたのは翁建一TJIC(資策会台日産業推進センター)主任である。翁氏は「台日企業の協議による第三国への進出作戦」と題して語り、今後より一層、台日関係が緊密になって行くことを期待した。
セミナー終了後は会場を移して、台湾政府・産業界を交えた、約300人参加の懇親会が催された。【金木 亮憲】
※1:日台OBネットワーク
日台産業連携を推進していく上で、日本各企業の台湾駐在経験者‐「台湾を離れても日台産業の連携推進に協力したい」、「台湾に対する友好の思いを持ち続けている(第2の故郷)」‐は貴重な存在。この人的ネットワークを有効に活かす目的で設立されたのが「日台OBネットワーク」(峯岸 進会長)である。(2007年12月設立)
ボランティア団体で現在の会員は約360人。毎年、日本で1~2回の交流会を開催。会員他、日本企業の各界名士及び台湾政府高官や産業界も参加する、日台双方の重要な情報交換の場となっている。※2:5+2産業イノベーション計画
2016年5月に発足した蔡政権の経済政策。「5」は「アジアシリコンバレー」、「バイオテク・医療技術産業」、「グリーンエネルギー産業」、「スマート機械製造産業」、及び「国防及び航空宇宙産業」の5つの産業策を指し、「2」は「新農業政策」及び「循環経済政策」を意味する。関連記事
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