免疫力を測定して、がんの予防に(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
予防医療が声高に叫ばれる中、免疫力を正確に数値で図ることができるキットを発売し、世界から注目が集まっている企業がある。(株)エイティジェンだ。同社の朴商佑(バク・サンウ)社長は接待が多く、いつも忙しくしているなか、ある日免疫力を測ってみたらずいぶん低い結果が出たという。その後、彼はお酒を飲む回数を10日に1回に減らしている。朴社長の友人の場合も、同社のNKビューキットで免疫力を測定したら数値が非常に低かった。それで、精密検査を受けたところ、大腸がんであることが判明したという。このような事例は枚挙に暇がない。
NKビューキットは簡単に自分の体の状態を把握できると同時に、がんにかかる確率が高いか低いかを測定することができる。免疫力が下がると、結果的にがんにかかる確率が高くなるからだ。例えば、アメリカやデンマークなどでは、大腸内視鏡検査をする前に、このキットで検査をして、免疫力数値の異常がある人だけが本検査を受けるようにしているようだ。そうすることによって、検査による被験者の負担と費用を減らすことができた。今まで免疫力を測る方法はなかったかというと、そうではない。以前は免疫細胞の数を計ることで免疫力を測っていたのだが、最近の研究で免疫細胞は、単純な数よりも免疫細胞の活性度がもっと大事であることが明らかになった。
同社ではNK細胞を刺激して、それが発生するインターフェロンγの量を測ることで、免疫細胞の活性度を数値化している。免疫の活性度とがんの罹患率が反比例するこということは、色々な論文でも発表されている。このキットは1ミリリットルの採血をするだけで、間単に免疫力を測ることができ、世界中で発売されている。
「最初の頃は臨床データもあまりなく、変な目で見られたこともあった」と朴社長は過去を振り返った。同社の技術は16年のアメリカの消化器学会でその年の革新的な技術の一つとして選定されたり、今年のヨーロッパのがん学会で、術後免疫力次第でがんのサイズが違ってくることが論文で発表されたりしている。
キットはがんの予防のためのスクリーニングツールであるだけでなく、このキットは予後管理のツールとしても有効だとされている。例えば、がんの手術をした後、その後の状況はとても気になるのは間違いないだろう。再発はしないのか、また転移はしないのか、患者にとっても医者にとってもいつも気になることである。そうかといって、CTやMRIなどの検査をどんどん行うと費用がかさんで負担になる。そのようなときにも、このキットは有効な手段になる。少ない費用とわずかな負担で、免疫力の測定が可能なので、とても有益である。免疫力はがんだけでなく、私たちの体の状態を正確に現す一つの指標になりつつある。この免疫力を測る検査を有効活用することで、自分の健康管理は勿論、病気の予防に活用することは良いことである。今までの血液検査は結果がわかっても、それを有効に活用する方法がなかったが、免疫細胞の活性度を測ることは、これから健康診断の必須項目になっておくだろう。
幸いにも、アメリカ、カナダ、ヨーロッパに次いで、同社は日本法人を設立し、日本でのビジネスを展開する予定である。治療より予防の時代のバロメータの一つとして、免疫活性度検査は日本でも普及していくに違いない。
(了)
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