2024年12月23日( 月 )

大名の不動産売却で見えるオンワードの苦境(3)

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(株)オンワードホールディングス

一等地の不動産を続々売却

オンワード樫山・福岡支店

 オンワード樫山・大阪支店ビルは、「築60年以上と老朽化が進み、建て替えも検討したが、最近の建築コストの高騰もあって譲渡するのが適切と判断」(同社)し、大阪支店は移転を検討。移転後には、買主である積水ハウス(株)のグループ会社により開発されることが見込まれる。こちらも、譲渡益は50 億円を計上。今年に入ってからも同社の資産売却は続く。2月までに保有していた上場会社の株式の売却も行い、有価証券売却益17億円を計上。17年2月期の特別利益は固定資産売却益69億円を含め99億円に上っていた。今年8月には、福岡支店ビルを西日本鉄道(株)に61億5,000万円で売却した。

 再開発事業の進展や外国人観光客の増加を背景に、オフィスビルの空室率が低下傾向であることを受け、地価は上昇傾向で推移。不動産市場では「売り時」が続いている。化粧品メーカーの買収などで活路を見出そうとしているものの、近年の営業利益は低下傾向にある。不動産を中心に資産の売却で当期利益は横ばいを維持しているが、肝心のアパレル事業は苦境に立たされている。
 オンワードホールディングスが保有する不動産は、ゴルフ場を除きいずれも政令指定都市の一等地。住民の都心回帰やホテル需要の増加などから、ファンドなどを中心に不動産業者垂涎の不動産を保有する同社の今後の資産効率化および財務体質向上策の一挙手一投足に注目が集まっている。

(つづく)
【永上 隼人】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:保元 道宣ほか1名
所在地:東京都中央区日本橋3-10-5
設 立:1947年9月
資本金:300億7,900万円
売上高:(17/2連結)2,449億円

 
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