北九州市議会に最年少議長誕生 ものづくりの潜在能力を生かすまちづくり(3)
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北九州市議会議長 井上 秀作 氏
今年2月、北九州市議会議長に47歳の井上秀作氏が就任した。井上氏は東京でサラリーマンを経験し、元北九州市議会議長の父・勝二氏の秘書に就任。以後、市議会議員となって活躍してきた。井上氏は、積極的に北九州市の発展に寄与したいと語る。北九州市のものづくりのポテンシャルを生かした地方創生プランとは何か。井上氏に北九州市発展のための取り組みを聞いた。
(聞き手:弊社代表・児玉 直)
介護ロボットで世界に
――潜在的な技術力を、これまでになかった方法で活用するということですね。
井上 北九州市は最悪の公害を乗り越えた環境都市でもありますから、こういったエネルギー問題には市民も強い関心を持っています。将来につながる布石になるでしょう。
また、11本の矢には介護ロボット事業も盛り込みました。これも洋上風力と同様に北九州市の技術が生かせる分野だと思います。現在、北九州市は国家戦略特区に認定され、本来認められていないあることをやっています。それが介護ロボットの実証実験です。日本全国で高齢化が進んでいて、北九州市でもその問題が顕在化しつつあります。介護を必要とする方は多くいらっしゃる一方で、介護の担い手は少ないのが現状です。なぜ介護事業に人が集まらないのかというと、やはり身体的負担が大きい仕事だからという面があると思います。介護スタッフの方に話をうかがうと、とくにお手洗いに行くときに立たせて、座らせるという作業や入浴の補助作業で身体への負担が大きいとのことでした。そこをロボットによる介助で軽減することができないか、というアイデアは従来からありましたが、制度の面で実現することができませんでした。
15年12月に国家戦略特区に認められたことで、介護ロボットの実証実験を行うことが可能となりました。現在、6つの事業所でさまざまな検証が進められています。
――北九州市は高齢化が最も進んだ政令指定都市です。高齢化の問題を一足早く肌身で感じていらっしゃるから、このような施策を取られたということですか。
井上 北九州市は高齢化が進んでいますが、これは日本の主な都市の将来像に先んじていることになります。北九州で新たな技術やサービスを生み出すことが、将来の日本に大きく寄与できると考え、国家戦略特区に認めてもらえたのだろうと思います。介護に携わる人材の育成も必要ですが、その負担を軽くする仕組みづくりも同時に進めなくてはなりません。
北九州には世界的に有名なモーター、ロボットの企業やトイレなどの衛生陶器の企業があります。既存の企業だけではなく、ベンチャー企業もこの取り組みで生まれてくれると思います。そして、北九州で実証実験を行うことで、地域、日本はもとより、世界中の先進国で進んでいる高齢化の問題を解決することができるようになるかもしれませんね。そうなれば、先鞭をつけていた北九州の企業が世界へ羽ばたくことも可能になります。介護ロボットに関連する技術は、モーターやトイレなどといったハードだけでなく、コンピュータプログラミングやAIといったものまで巻き込んでいく可能性が高いです。高齢化問題の解決が新たな産業分野を拓き、地域を活性化していく原動力になります。
(つづく)
【文・構成:柳 茂嘉】※クリックで拡大
<プロフィール>
井上 秀作(いのうえ・しゅうさく)
1969年4月、北九州市小倉北区生まれ。駒沢大学法学部政治学科を卒業後、国際航業(株)に入社。95年、井上勝二北九州市議会議長秘書に就任。2002年2月、北九州市議初当選、以後5期連続当選を果たし、17年2月に北九州市議会議長に就任。趣味は音楽・映画鑑賞、釣りなど。関連キーワード
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