2024年12月05日( 木 )

ド派手なセレブ生活も終焉か(6)~(株)ストーンマーケット

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 天然石アクセサリー販売で急成長した(株)ストーンマーケット(本社:福岡市中央区、中村泰二郎社長)だが、業績の悪化から事業の縮小を余儀なくされている。2年半ほど前に「ド派手なセレブ生活は続くのか」と題して同社の凋落を報じたが、いよいよド派手なセレブ生活も終焉が近づいているようだ。

負のスパイラルに落ち込む

 購買層が二極化していくなかで、同社が主戦場としていたミドルクラスの天然石アクセサリー市場は縮小傾向に入った。この傾向は同社のみならず、ライバル会社にも大きな影響を与えている。「アナヒータストーンズ」を展開する(株)めのや(島根県)も近年の売上高は右肩下がりで、2014年期までは45億円程度の売上高を維持していたが、17年期では35億円程度にまで下落した。同時に赤字基調に陥っており、財務面の弱体化が進んでいるようだ。

 市場の縮小とコストアップで収益力が低下すると、資金面の制約から事業展開も自由度を失う。出店戦略としてはイオンなどの商業施設に入るのが、集客やコスト面から考えて、費用対効果が大きい賢明な策に思える。しかしその一方で契約に縛られて簡単には撤退できないという問題も抱える。とりあえず出店したものの不採算だったので閉店、と簡単にはいかないのだ。結果的に赤字でも一定期間は店舗を継続することになるため、損失が膨らむことになるという。

 前述したように同社の経営戦略は、戦略性に乏しく場当たり的な印象が強い。そのため負のスパイラルに落ち込むと、業績の悪化に歯止めが掛からないようだ。同社には仕入部門の役割を担う(有)ナカムラインターナショナルがあるが、その業績も惨憺たるものだ。13年6月期までは売上高が20億円程度を維持していたが、16年6月期では13億円程度にまで下落し、採算面も赤字基調に陥っているようだ。

 同社の財務内容(判明している15年3月期まで)を簡単に説明すると、借入金が多い割には現金と土地は少ない。一方で棚卸資産と建物・付属設備などが多い。つまり事業で得た利益に加え、金融機関から借入金を調達し、棚卸資産(原材料となる石)や建物(店舗などの設備)に積極的に投資してきた、と見ることができる。典型的な拡大戦略だ。借入金を活用することでハイリスクとなるが、順調に販売できればハイリターンとなる。だが逆に売れなくなると、積極的に投資した分だけ損失も膨らむことになる。同社の場合、原料の石は売れてこそ価値を生むのであり、売れなければ不良資産だ。出店する店舗への投資も不採算店舗になれば同様に不良資産化してしまう。負のスパイラルは四面楚歌の状況を招いてしまうのだ。

(つづく)
【特別取材班】

▼関連リンク
・ド派手なセレブ生活は続くのか(1)~ストーンマーケット
・続・ド派手なセレブ生活は続くのか~ストーンマーケット

 
(5)
(7)

関連キーワード

関連記事