2024年12月23日( 月 )

大反響の前号に続き「なんばしょっとか!!久留米」発刊(後)

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市債は約1,700億円とも国が財政難の中大丈夫か

 追加予算も含め200億円近い血税を投じて作られた久留米シティプラザであるが、ほかの自治体から見れば、久留米市は、さぞ裕福な自治体なのだろうと思われているかもしれない。しかし、実際のところ市債(借金)は年々増加傾向にあり、15年度は1,440億円となった。負担増加の要因は、財政難にある国が地方交付税交付金の代わりに発行している地方債の臨時財政対策債(臨財債)だ。その額は約500億円で、のちに地方交付税で相殺されることになっているものの、現状、本当に国はこの債権を補てんしてくれるかどうかはわからない。また、一部では1,700億円に膨れ上がっているという情報もあり、市債が増加傾向にある。

 日銀の黒田東彦総裁による「異次元の金融緩和」により、日銀は毎年、市場経由で国債を購入している。国の17年予算では税収と税外収入を含めた歳入から歳出を差し引いた額が▲34兆円。これを赤字国債として補てんしている。このような赤字を積み重ねた結果、国の累積赤字は1,071兆円(17年3月末)と、20年前の360兆円の3倍にも膨れ上がっている。毎年10兆円ずつ返しても100年以上かかる計算だ。国がこのような状況で一地方都市である久留米に臨財債が優先的に返還される保証はない。ゆえに市債残高を削減・抑制するためには、予算を切り詰めるしかないのだが、久留米市の行動はそれに逆行している。「公共工事で箱モノであれば追加予算は当たり前」と語る市役所OBもいたが、このゆがんだ状況は早急に是正していかねばならないだろう。

市民の安全を無視 殺人マンション問題

 第1弾で市民の方の声として多かったのが、「新生マンション花畑西」を舞台にした欠陥マンション問題だ。「久留米市はこんな問題も抱えていたのか?」と驚いた人たちの声を数多く耳にした。東日本大震災、熊本地震など近年大地震が地方都市を襲っているが、仮に久留米で同様の大地震が発生すれば倒壊の恐れがある。今から20年以上の前の話となるが、建設に携わった工事関係者はもとより、監督責任のある久留米市の責任は重大だ。住民らで組成した原告団が久留米市を訴えたが、残念ながら第1審では敗訴となった。背景には全国の自治体で今回のような欠陥マンションの監督責任を認め、賠償に応じるような前例を作ってはいけないという裁判所も含めた体制側の思惑も大きかったと思われる。夢にまで見たマイホーム。購入したら欠陥だらけで、結局違う物件を購入することになる人もいる。行政側がしっかりと監督責任を果たしていれば、ダブルローンを組む悲劇に見舞われないで済んだ人たちも少なくはないのではなかろうか。何ともひどい話だ。

問題山積待ち焦がれる新風

 久留米市は問題山積だ。第1弾で取り上げたのは氷山の一角。問題は数え上げればきりがないほどある。しかしながら、いまだ、あえてリスクを背負い、久留米を変えようと立ち上がる市民の動きは目立っていない。まだまだ、久留米の惨状を、より多くの方に伝える必要があると痛感した。

 悪党は、見ていないところで跋扈する。市民の知らない所で利権を貪り、仮に知っていたとしても極めて少数派で、誰も声を上げることができない状況を作り上げている。久留米を正常化する第一は、異常を知らしめることにある。今回、弊社では、前回に引き続き、本村康人会頭、久留米シティプラザ、市政、欠陥マンションの4つの話題を掘り下げて取材した。新たに判明した新事実には、空いた口が塞がらない方もいることだろう。刮目して欲しい。これが久留米の現実だ。

(了)
【矢野 寛之】

 
(前)

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