日中友好なくして、アジアの安定も世界の平和もない!
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安倍首相の口癖に「地球儀を俯瞰する外交」というのがある。アメリカに行き、ロシアに行き、中東に行った。しかし、日本と“一衣帯水”の関係にある隣国で、世界第3位の国土の中に、世界第1位の人口を持つ中国には足を踏み入れない。これで、どうやって地球儀を俯瞰することができるのだろうか?
9月23日(土)の午後、新宿にある(株)ブリックスの会議室において、知識の杜 主催によるフォーラム「五十嵐勝先生(中国人留学生4千人の父)を囲む会」が開催された。人類に残された時間は、せいぜい後100年しかない!
主催者である知識の杜 松島秀夫代表の開会挨拶に続いて、来賓として登壇した前参議院議員・元外務大臣政務官で国際政治経済学者の浜田和幸氏は、その挨拶の中で「昨年まで『人類の未来はあと1,000年で終焉を迎える』と発言していた、イギリスの車椅子の物理学者・ホーキング博士が、今年5月のBBC放送で『人類に残された時間は、せいぜい後100年しかない』と大幅に軌道修正した」というショッキングな事実を披露した。
その原因には3つあり、1つ目は「地球温暖化現象」、2つ目は「人工知能(AI)が人類に及ぼす影響」で、3つ目が今回の大幅修正の最も大きな原因と考えられる「北朝鮮問題」である。浜田氏は続けて「今アメリカも北朝鮮もお互いに言葉のミサイルを撃ち合っています。このまま行くと、本当に誰もが望まない、人類全てを道連れにする世界大戦が起こる可能性が充分にあります」と警鐘を鳴らした。
ホーキング博士は、こうした事態が現実のものとなる前に、人類は安全に暮らせるより良い環境を求めて、他の惑星に移住すべきと主張している。ホーキング博士の問題提起に最初に反応したのは中国
世界で最も素早くホーキング発言に反応したのが中国である。続いてロシアの大富豪が「人類が他の惑星に移住するロケット開発、技術開発に資金を提供する」と申し出ている。浜田氏は「宇宙開発で、アメリカやロシア以上に、近年最も目覚ましい進歩を遂げているのは中国です。月の土地を大々的に販売し、今世紀中の火星への移住開始も宣言しています。その裏付けをホーキング博士が示してくれたことを歓迎しているのです」と解説した。
続いて行われたフォーラム「五十嵐勝先生を囲む会」は、浜田和幸氏が五十嵐勝氏にインタビューする形式で展開された。(以下、一部抜粋してお届けする)
国費留学生が約150人、90%以上が東京大学に通った
浜田和幸氏(以下、浜田) 中国人留学生との最初の出会いはいつ頃になりますか?
五十嵐勝氏(以下、五十嵐) 船橋市夏見台で経営していた青果店「八百春」の近くに、「日中文教協会」船橋寮があり、そこの留学生が食材を求めて八百春に買い出しに来ました。1985年頃のことです。寮には国費留学生が約150人、90%以上が東京大学に通っていました。彼らは2万人に1人という競争率で選抜され、大連の外国語学院で2年間日本語を勉強、中国共産党綱領を叩きこまれ来日しました。当時の中国政府からの支給額は月8万円です。そのため、定価に対し「高いからまけろ」と必ず言うので難儀し、その対策として、彼らが来る時間帯には、値引きしても利益が出るように正札を付け替えていました。
浜田 その後、五十嵐先生が損得勘定抜きに、「若い中国人留学生を応援しよう」という気持ちに変わっていったのはなぜでしょうか。
五十嵐 彼らがとてもわずかな交通費も節約していたことを知ったからです。東大に行くのは、国鉄(当時)で船橋から御茶ノ水に出るのが通常の行き方です。しかし彼らは自転車で西船橋まで出て、地下鉄で御茶ノ水までという少しでも安いルートを工夫していました。彼らがアルバイトもせず、朝から夜遅くまで勉強しているのは知っていました。私は、早くに父を亡くし、母一人に育てられ、勉強したくても、結局お金がなくて、夜間(高校の定時制)しかいけませんでした。そんなこともあって、一生懸命勉強している彼らを応援しようと思うようになりました。
浜田 それにしても、仕入れた代金を市場に払わず、困っている留学生に渡すなどは中々普通の感覚ではできないことです。夫婦喧嘩はもちろん、「八百春」の倒産、さらには、家庭崩壊の危機もあったと聞いています。
五十嵐 次から次へ留学生は来日しました。困ったのは、本人ではなく、中国のお父さん、お母さんが病気になった時です。彼らは帰国する費用(当時で約20万円)がありません。そんな時は市場に支払うべきお金を渡してしまいました。確かに気持ちはいいのですが、おっしゃる通り、いろいろな危機を山ほど経験しました(笑)。
太いパイプを持っている政治家、経済人は沢山いる
浜田 日本と中国の関係は今、「尖閣諸島問題」、「南シナ海問題」、「歴史問題」など山積みです。五十嵐先生は、どうしたらよいと思われますか。
五十嵐 一言で言えば「交流」が何よりも大切と思っています。安倍首相は「地球儀を俯瞰する外交」と言われますが、行くのは中国の周りの国ばかりです。中国から見ると、「なぜ、俺のところに来ないのか!」と不思議でもあり、あまり気分の良いものでもありません。中国との太いパイプを持つ政治家・経済人はたくさんいます。もっとどんどん中国にいくべきです。日本と中国が仲良くしなければ、アジアの安定も世界の平和もないと私は思っています。
浜田 私も日本がアジアそして世界と共存共栄できるような未来を目指し、本やネットマガジンを通じて、多くの方があまり気づいていない、しかし大事な視点や情報を引き続き提供して行くつもりです。
<プロフィール>
五十嵐 勝(いがらし・まさる)
1985年頃から2000年代前半までの間で、中国人留学生約4,000人と交流を持つ。1989年 第1回「倉石賞」(日中学院 倉石武四郎先生記念基金)を夫妻で受賞。訪中は200回を超え、民間人として多くの中国要人と面会、「中南海」に行き「迎賓館」にも宿泊した。関連記事
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