「コリア核戦力」の容認に「専守防衛」の日本はどう対処するのか?(後)
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日清、日露、朝鮮戦争…。戦後日本の平和は再び、朝鮮半島から崩されようとしている。「戦史」「コリア」「核戦力」…。国難というべき事態だが、大方の戦後日本人がいずれも不得手である。そこから誤判が生まれる。空隙を攻められ狼狽している実態が、新聞やネット記事からもうかがえる。21世紀の正念場はこれからだ。次回総選挙のテーマは、実はこれであるに違いない。
韓国は日米同盟のらち外
日本のれっきとした大学のまともな研究者の見解もお知らせしよう。
防衛大学校の朝鮮軍事専門家である倉田秀也教授だ。多くのコリア専門家が頓珍漢な見立てをするなかで、彼はこれまで的確な見通しを述べ、的中させてきた。9月7日の読売新聞インタビュー記事から、小見出しを以下に列記する。
「必要な実験、着々とこなす」「グアム沖発射、可能性は消えず」「言葉の保障より武力」「ミサイル技術、完成は時間の問題」「中国頼みには限界」「最後はやはり米国」「核戦力、崩れる均衡」。以上である。
ポイントは最後の「核戦力の均衡が壊れる」という部分だ。当然である。北朝鮮という核脅威国が登場した今、韓国には「親北」の政権がいる。今後4年間以上、彼らは韓国を統治し、日米韓の軍事体制は事実上崩壊する見通しが強くなった。
日韓首脳の電話会談で、文在寅・韓国大統領は安倍首相になんと言ったのか。結束を呼びかけた首相に、大統領は日本が過剰対応をとらないように自制を求めたのだ。
この点は韓国大統領府のブリーフィングで強調された点だ。文大統領は戦術核の再搬入を志向する米国政府に対しても、これを拒否する意向である。文大統領が当選した時に私も含めて予測した「対北追従」は、北朝鮮の急テンポな核実験を受けて、さらに速度を増したようである。
先述の倉田教授が言う強盗・人質論が的確だ。
「銀行に強盗が入り、銀行員を人質に取った。いざ警官が踏み込もうとした時、被害者であるはずの銀行員が、人質が強盗と話しをつけると言っているに等しい」と、彼は韓国政府の現状を批判した。文大統領は8月15日の光復節演説で「我々だけが朝鮮半島の運命を決めることができる」と言ったのだ。韓国の病気は、人質によく現れるストックホルム症候群である。我々はどう対処するのか
さて、日本はどうするのか。安部首相は早期解散を決めた。民進党のていたらくを見て、さらに米国、ロシアなど大国との外交を踏まえた判断と見れば、妥当なものであろう。次の総選挙が戦後社会の正念場だろう。四囲の状況を精査して、賢明な判断を下すようにと、首相と国民には建議したい。
最後に、朝鮮日報主筆の最新コラムを引用する。タイトルが「まったく国とは言えない」だ。言い得て妙である。
「2人の人間が砂漠を歩いている。1人は水筒を持ち、もう1人は拳銃を持っている。拳銃を持っている人間は、もう1人を撃ち殺して水筒を奪おうかと考えている。ところが水筒を持っている人間は、水を一杯やれば大丈夫あろうと思っている。どちらが韓国か北朝鮮か。みんなわかるでしょうね」。
さて、日本はどうなのか?日本は国家か?
(了)
<プロフィール>
下川 正晴(しもかわ・まさはる)
1949年鹿児島県生まれ。毎日新聞ソウル、バンコク支局長、論説委員、韓国外国語大学客員教授、大分県立芸術文化短期大学教授(マスメディア論、現代韓国論)を歴任。国民大学、檀国大学(ソウル)特別研究員。日本記者クラブ会員。
メールアドレス:simokawa@cba.att.ne.jp関連記事
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