なぜ韓国人は日本に押し寄せるのか?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
ところが、韓国も1988年オリンピックの開催に成功し、韓国経済も成長を続けた。その後再び私が日本に来るようになったのは94年である。今回はビジネスをするためであった。94年は日本ではバブルが弾けた後で、日本はそれほど元気がなかった。今でも覚えているのは、日本人を夜食事に誘ったが、あまりお酒も飲まず、電車がなくなるのでと言って、10時をすぎると帰ってしまったことだ。一方韓国の大手企業はその当時少し自信過剰になっていた。韓国企業は過剰投資で後でアジア通貨危機に見舞われることになるが、その当時は韓国企業はむしろ日本人の元気のなさを不思議に思っていたほどである。アジア通貨危機を皮切りに、韓国の経済は大きくその体質を変えていく。
早目にその危機を克服したのは事実だが、アジア通貨危機は韓国経済に深い傷跡を残した。個人も大きな痛手を受け、その後貧富の格差がもっと大きくなった。大きな危機を経験した韓国政府は業種ごとに主力企業を決め、過当競争に陥らないようにした。経済危機を経験しただけに、韓国政府は経済の大切さが身に沁みて、危機に見舞われても潰れないように大手企業を政策的にサポートした。その政策で大手企業と中小企業の格差はもっと開いてしまった。大手企業中心の政策のお陰で、サムスン電子、LG電子、現代自動車のような企業はもっと飛躍することができた。グローバル企業の誕生によって、韓国経済にも昔と違ってかなりの冨が蓄積されたのは間違いない。
以上筆者の個人的な経験を中心に日韓両国の経済の状況を見てきたが、それではなぜ韓国人は日本に押し寄せるようになっているだろうか。まず、一番の理由は距離が近いことだろう。仁川空港から福岡空港までの飛行時間はわずか55分である。それに日本は安全で衛生的な国である。日本人は親切で食べ物もおいしい。日本の寿司、ラーメンの味を好む韓国人が多くなっている。韓国の高級ホテルに行っても、日本の回転寿司の寿司の味には適わない。日本には豊かな自然、温泉があり、それにゴルフなども楽しめる。日本は交通費などが高くて、旅行費用はかさむが、一般人にとっては一番興味があって、行って見たい国の中の一つは日本である。ビジネス的にも日本は魅力のある国である。市場サイズは韓国の5倍に当たるし、日本には優れた技術力があり、日本でしか購入できない装置、部品などがある。文化的にも似ているので、日本は韓国の将来図でもある。日本を理解することで先を読むことができる。
それから韓国の物価が高くなったことによって、以前ほど日本の物価が高いと思わなくなった点もあるだろう。私の知り合いは久しぶりにソウルを訪問してソウルの物価はある意味では日本より高くてびっくりしたと言っていた。彼の実感は正しいかもしれない。韓国の物価が高くなったことによって、日本訪問のハードルが自然と低くなったかもしれない。
それに、お金持ちにとっては、韓国で経験できないサービスが日本にあるし、日本に来ると人の目を気にせずに楽しむことができるので、日本は人気を博している。それから面白い現象もある。日本に駐在した経験もある人は、韓国に帰っても日本に対する郷愁みたいなものを持っている。その家族も言うまでもない。そのような要因が重なって、日本に韓国人が押し寄せているのではなかろうか。
(了)
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