2018年1月市長選は混戦模様 傀儡政治からの脱却なるか?(後)
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候補者多数の混戦のなか、久留米シティプラザ問題を含め、久留米市の課題について、どのような解決策が提案されるのだろうか。なお、1963(昭和38)年市長に就任した井上義人氏以降、50年以上、市の助役(副市長)などを歴任した人物が市長となっている。97(平成7)年の白石勝洋市長以降、22年(3代)続いた市役所出身の市長の系譜にも終止符が打たれることになりそうだ。久々の民間出身市長の誕生という点でも次の選挙は注目される。
問われる再建策は?
市長選は宮原氏と大久保氏の2人が中心となる戦いになりそうだ。宮原氏は7月に1番乗りで立候補を表明し、各地域で支持固めを行っており、前回よりも善戦することが予想される。一方、大久保氏は旧民主党時代、参議院で12年間国政に携わり、財務副大臣も務めた人物だ。輝かしい経歴の持ち主であるが、民主党時代から、企業関係者とのつながりが薄いという声もある。いくら有力者の支援があるとはいえ、どのような戦いを行うのか周囲は注目している。選挙戦まであとわずかだが、候補者の政策に注目していきたい。
久留米市政は、約四半世紀もの間、プロパー市長支配のもと、利権の巣窟とされてきた。疲弊した久留米市の次の市長にはさまざまな問題解決に向けた取り組みが求められる。まず、1つは市役所内での緊張感を持った雰囲気を作り上げること。次に開かれた市政を作らなければならない。良い部分しか報じないプロバガンダの広報くるめをはじめ、市民への情報開示を明確にする必要がある。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のような初めから大幅赤字が予想される事業は興行を行う目的を明確にして市民の理解を得るべきである。
市民に目を向けるべき
久留米市の農業産出額は320億円(2010年)で、「県内最大の農業生産都市」とも言われている。1万人以上の農業従事者いるが、そのうち、16年4月から稼働したごみ処理場「宮ノ陣クリーンセンター」については批判的な意見を持つ人が多い。「(農業の)一等地になぜ、ごみ処理場を作るのか。地価も下がるし、周辺に人が住まなくなる」(農業関係者)。
田主丸町で農業を営むAさんも、久留米市の農業の将来を憂えている。「宮ノ陣クリーンセンター」が建設される以前、Aさんは、ごみを減らす智恵や工夫を教育カリキュラムに導入し、環境問題について考える習慣を子どものころから持たせることが大切だと市関係者にも訴えてきた。たとえば小中学校において、ごみの分別・処理を行うことは、自分で考える習慣を付けさせることにつながるという。現市政に幾度となく提言してきたが、一切聞き入れてもらえなかった。
農業・医療・福祉をセットにしたCRCC(継続的なケア付きの高齢者たちの共同体)を作るのも1つの方法だとAさんはいう。アメリカでは、CRCCがすでに約2,000カ所あり、計75万人が暮らしている。市民の英知を集めていけば、まちの活性化につながっていくことが期待されるが、肝心の行政は市民のほうを向いていない。
Aさんは、全体に光を当てられない今の政治を危惧する。久留米市に置き換えれば、農業と少子化問題についても真剣に考えなければならないはずだ。田主丸町には、合併したことで税金が高くなり、「他の町と一緒にならなければよかった」と不満を漏らす市民も多くいるという。市政に嫌気がさし、移住でもされたら、まちが衰退するスピードはさらに加速する。市民が夢や希望を持てる市政にしていくためには、一部の人間ではなく、市民のほうに目を向けなければならない。
(了)
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