台湾ITRI来日記念、BBAが意見交換会を開催！（前）

　10月5日（木）に（一社）ブロードバンド推進協議会（略称：BBA、代表理事：宮内謙　ソフトバンク（株）代表取締役社長兼CEO）はソフトバンク本社において台湾工業技術研究院（ITRI）来日記念「BBA台湾視察報告＆ミートアップ」を開催した。BBAとITRI（※）は16年10月にMOU(了解覚書)を結んでちょうど1年になる。本年5月には、BBA視察団が「COMPUTEX Taipei 2017」（5.30‐6.3）の視察を兼ねて訪台、ITRIはじめ台湾の政府機関、情報通信産業、スタートアップ企業を視察し、ベンチャー企業とのマッチングを実施した。

注目すべき台湾政府関連団体とのMOU締結の速さ

木暮 祐一氏

　開会挨拶を受けて登壇した、木暮祐一青森公立大学経営経済学部 准教授（BBA 利活用部会長で当日の総合司会）は、5月のBBA視察団の模様、国立交通大学～ITRI～アドバンテック社などの訪問（1日目）～「COMPUTEX Taipei 2017」視察など（2日目）をスライド中心に振り返り、ITRIと台湾ICTベンチャー企業の来日を歓迎した。

　先ず、日本側３人のプレゼンテーションが行われた。（1）ソフトバンク株式会社（システムサービス統括部 モビリティサービス推進室 岩隈智行氏：台湾でのスマートシティ実証事業（電気自動車と通信とITを組み合わせた）の提案（2）株式会社リンクトブレイン（取締役　清水弘一氏）（3）株式会社ハタプロ（代表取締役　伊澤諒太氏）である。
　ITRIはじめ台湾政府関連団体がMOU締結に至る速さには驚く。当日は5月の訪台をきっかけとして、新たにMOU締結に至ったBBA会員企業2社の事例が会場で披露された。

　１つ目は、株式会社リンクトブレイン（東京・福岡）である。同社は台湾政府の100％出資機構である財団法人資訊工業策進会（通称「III」）と、日本と台湾間においてゲームクリエーターやエンジニアといったゲーム業界人材の育成機会の創出や、交流活性化のための環境構築、また台湾ゲーム会社や日系ゲーム会社の成長支援となるビジネス構築を相互検討することを目的としたMOUを締結した。清水氏は「5月に初めてIIIと出会い、『東京ゲームショー 2017』（9月21～24日）に、IIIが来日の際にMOUを締結した」と報告した。

　2つ目は、（株）ハタプロ（東京）である。ハタプロと台湾との関わりは2012年頃からと早く、2014年にはITRIとMOUを締結している。今回のMOU締結の相手は台湾でバスを使ってWi-Fiシステムを展開するITRI発ベンチャー企業「Y5Bus」である。調印式は当日同会場で行われた。ハタプロが5月開催の「COMPUTEX Taipei 2017」で展示披露したIBM Watsonを活用した超小型パーソナルガイドロボット「ZUKKU」が同バスに搭載されることになる。
　伊澤氏は「今後は日本でも台湾でも街の商店街などでも広く『ZUKKU』を活用いただきIoTに貢献したい」と抱負を語った。すでに、日本の大手百貨店などでは導入検討が進んでいる。

（つづく）
【金木　亮憲】

※工業技術研究院（ITRI）：1973年に設立された世界的な研究機構で研究者が約6,000人在籍する。科学技術の研究開発により、産業発展と経済価値を創造し、社会福祉を促進することがミッション。特許取得件数は2万件を超え、また260社に及ぶベンチャー企業を育成。近年は、とくにオープンラボやインキュベーションセンターを設置し、積極的にベンチャー企業や新たなハイテク産業の育成を加速している。