北九州・福岡と協力関係を構築してほしい~社内対談(前)
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井上秀作・北九州市議会議長の取材を終え、私たち取材班は大いに刺激を受けることになった。井上議長の話す産業振興と人口増加のための施策や、数値をもとにして検証し、改善を続けて実現させるというプランは経営にも通じると弊社代表・児玉直は指摘する。取材を終えた所感をまとめる。
(弊社代表・児玉 直×北九州地区担当・柳 茂嘉)
施策を検証し目的達成目指す考え方
柳 北九州市は深刻な高齢化、人口減少が続いています。
児玉 20世紀初頭、日本の近代化を強力に推し進めた八幡製鐵所がつくられた北九州市は、製鉄所の存在感が大きかったために、他都市とは違った成長を続けてきたのだと思います。鉄の町として、工業に偏った町づくりがなされてきたために、鉄鋼業が関東・関西にシフトしていくとともに、北九州市は低迷を余儀なくされているのでしょう。
今でもものづくりの町として特徴のある都市ですが、第二次世界大戦前と比べると、その構成要素は変化してきています。鉄鋼から機械、衛生陶器、化学など、多様な工業都市へと変化しました。工業の構成が移り変わるとともに、働く場所の減少などを受け、かつて100万人だった人口も96万人にまで減ってしまっていました。
柳 市民の入出に関する統計を見ると、20歳前後で一気に減っていることがわかります。これは学生が就職するため、もしくは大学進学の際に北九州市を出ていってしまうということを示しています。
児玉 やはり学生が望む働き口が北九州市に少ない、ということが大きいのでしょうね。若者が出ていってしまうのは、都市として大変大きな問題だと思います。そこの部分を井上議長は真摯に捉えて対策を考えていらっしゃり、その点に大変感銘を受けました。どうすれば北九州市を活性化することができるのか、どういう産業を興していけば長期的に北九州市の発展につながるのか、戦略的に考えていらっしゃいました。取材では、それらの効果を数値化して測定し、改善することで、より高い精度で人口減少を人口増加に転じたいとおっしゃっていました。効果を数値化して検証するというスタンスは、経営者も学んでいくべきところだと思います。
自ら動き責任を負う覚悟
柳 人口減少は北九州市が構造的に抱える大きな問題点です。その解決は一筋縄ではいかないと思います。
児玉 だからこそ、施策をもって北九州市を活性化させるという考え、そしてその実現のために議員自らが動くべきとする井上秀作議長の考え方は評価したいですね。自らの政策を自らの手で実現させようというものです。これならば失敗した場合でも人のせいにできませんから、責任感が湧きますし、井上議長は実現できなかったら腹を切る覚悟で臨むとまでおっしゃっていました。それほどの覚悟のある政治家だと感じ、今回の特集号へとつながりました。今後に期待しています。
柳 そうですね。これから将来に向かって希望が持てる取材になりました。たとえば洋上風力発電施設の建設にしても、これはアジア地区全域にまで広がる可能性のある、非常に有効な政策だと思います。洋上風力発電機は、風を受けるプロペラが数十メートルもある大きな設備です。それだけに、その製造には広い場所が必要になります。今、日本国内にその専門ヤードはありませんから、北九州で洋上風力発電を行う際に大きな製造拠点を開設したら、北九州から全国に広がる可能性が高まります。これは国内だけでなく、アジア圏でも同じです。北九州市若松区に製造拠点がつくられることになりますが、そこから船を出せばどこへでも持っていくことが可能になります。加えて、風力発電機は部品点数が2万点程度必要といわれています。これだけの量の部品をつくるとなると、既存の町工場の技術まで総動員しなければ賄いきれません。新たな受注につなげることができる洋上風力発電施設は、北九州市にとって大きなプラスになっていくと思います。
(つづく)
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