東福岡高校に学ぶマネジメント力~(医)井口野間病院・岡田勢聿氏(後)
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福岡・九州の企業および政治・経済の取材・情報発信を行うなかで、東福岡高校のOBの方々が九州のみならず、全国、世界を舞台に活躍・貢献していることを改めてうかがい知りました。そこで弊社では、多方面で活躍されている東福岡高校のOBを集めた書籍『東福岡高校OB100人(仮題)』(2017年12月下旬発刊予定)を制作することを決意しました。本書籍はOBの方々が高校生活で経験し、今なお自身に根付いている学びの精神などを語っていただき、「なぜ東福岡高校の生徒は伸びるのか」という疑問を紐解いていきます。同時に「我こそは!」という現役で活躍されている東福岡高校のOBを募集しています。
今回は発刊に先駆け、(医)井口野間病院、(医)周友会徳山病院、(一財)高雄病院の副理事長を務める岡田勢聿氏をご紹介します。
真の人間教育が必要
岡田氏は東福岡高校での3年間を振り返り、「一言で表現すると“バンカラ”そのものでした。そのようなやんちゃで荒くれ者たちをまとめる先生方は、勇ましく生徒以上に気迫と気骨ある方々でした。何かあったら一発喰らわされました。現代社会では、体罰・暴力とされることもありましたが、お互いにまったく後腐れなどはなかったですね。なぜなら、1人ひとりの生徒をよく見てくださっていた」と語る。「東福岡は男子校ですから、男同士の凌ぎ合いと言いましょうか、常に何かで競い合って切磋琢磨していた風土がありました。各人が簡潔明瞭でそれぞれが自立していたという感がありましたね。暗くジメジメしたものなど一切なく、本当に生き馬の目を抜くと申しましょうか、皆それぞれが全面に出ておりました。その風土のなかでの3年間は、まさに人間教育の場でした。個性的な生徒ばかりでしたので、日常で“人を見る目”を養うことができました。当時の東福岡高校は、勉強など学力が高かった生徒も存在しましたが、全体的に平凡であったと思います。一方で、東福岡高校の創立者の德野常道先生は、崇高な信念と情熱により学園を作り上げておられました。先生方は怖かったですが、我々生徒1人ひとりときちんと向き合い、紋切り型・杓子定規ではない、個性を生かした指導を行っていただきました。本当に丁寧に生徒の話を聞いてくださり、寄り添い、支えてくださる方々でした。頭脳明晰で、気迫と体力が溢れる先生も多かったです」と当時の先生と生徒の関係性について語った。
そこには、お互いの信頼と尊重があり、学問やスポーツ、文化などの向上だけでなく、1人の人間として社会に出てもあらゆる困難や障害に対して立ち向かい、挑戦していくための対応力、自助努力できる人間形成が、同校では実践されていたのだ。
岡田氏は、今の世の中において本当に大切なことは、『折れない心を育むこと』であると断言する。「教育現場でいえば、学力を上げて進学率を高めることも大事ですが、画一的なステレオタイプの教育には疑問符がつきます。やはり、社会に出てどんなに厳しい状況でも対応できる人間力を育成することが大事です。それには、折れない心を育むことです。折れない心を育むには、導く側が絶対に逃げないという不動心と個性を尊重する姿勢が必要です。私は、助けはしませんが逃げません。それは、助けずに側にいて支えて寄り添うということです。助けてはいけないのです。折れない心を育むには、自助できること─自分でできることを気づかせることなのです。そばにいて寄り添い、時には助言・直言することで、その人が折れない心を育める社会と風土、そして組織を作っていくことができます」とこれからの人間教育について述べた。
これからも岡田氏は、人間味豊かな医療の社会を構築するために進み続ける。
(了)
【河原 清明】<プロフィール>
岡田 勢聿(おかだ・せいいち)
1960年福岡市生まれ。東福岡高校、福岡大学商学部卒業。麻生商事(株)入社。退職後、川崎医科大学付属リハビリテーション学院作業療法学部入学。卒業後、(医)白十字会で作業療法部主任を歴任後退職し、発達障害児施設知徳学園を福岡市で開設し園長を務める。その後、NPO法人理事長を経て、現在は(医)井口野間病院、(医)周友会徳山病院、(一社)高雄病院の副理事長を務める。また、九州大学医学部第一内科教室でリエゾン精神医学を専門習得生として研究中。関連キーワード
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