観光資源でまちづくり 福岡の新たな冬の風物詩・クリスマスマーケット(後)
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(株)サエキジャパン 代表取締役 佐伯 岳大 氏
冬の夜――人を集めるのは困難といわれる時期に2013年から毎年開催されている「クリスマスマーケットin光の街・博多」。今年、5回目を迎えるクリスマスマーケットの主催者である(株)サエキジャパンの佐伯岳大社長に、話を聞いた。
(聞き手:弊社代表・児玉 直)
開催5回目を控え「やっとスタートライン」
――今年で5回目の開催となるわけですが、これまでを振り返ってどのような感想をお持ちですか。
佐伯 夢は、今後500年続くイベントです。そういった意味ではまだまだなのですが、5年を経てようやくスタートラインに立てたかなと思います。クリスマスというイベントは、特別な商材がないものの、世代を問わず楽しめるイベントです。「きれいなイルミネーションを楽しみたい」「ワインを飲みたい」「食事がしたい」「クリスマスの雰囲気のなかで音楽を楽しみたい」など、どの世代も楽しめる、温かいイベントなのです。
クリスマスマーケット期間中は、毎日何かしらのイベントが開催されていますので、ふらっと立ち寄った方が隣の人と一緒にお酒を飲みながら音楽を聴いてもよし、仕事帰りにベンチで1人ホットワインを飲んでもよし、そういう雰囲気づくりを心がけています。イベント参加者やショップの方々に良い雰囲気をつくっていただけているおかげで、夜の屋外イベントにも関わらず、過去1度もケンカなどのトラブルはありません。
これまでのクリスマスマーケットでは、結婚式も開催しました。とくに15年に行われた式は、新郎さまのサプライズだったのですが、新婦さまだけでなく会場中が祝福ムードで、本当に温かい結婚式でした。
会場づくりにもこだわっています。売店の小屋(ヒュッテ)やベンチ、ワイン樽などは本場のものを輸入して設置していますし、ホットワインやドイツビール、チーズ、ソーセージなども本場のものを用意しています。
また、今年はクリスマスマーケットに合わせて、サンタタクシーが福岡市内を10台走る予定です。車体のラッピングだけでなく、サンタがドライバーになり、乗車するとメッセージカードをもらえるサービスも予定しています。これからも、「人々に楽しんでもらい、幸せな気分になってもらいたい」というイベントのモットーを忘れずに、クリスマスマーケットを継続していきたいですね。
――今後は、クリスマスマーケットをどのように発展させていきたいですか。
佐伯 昨年の来場者数は、博多・天神合わせて約400万人でした。今年は450万人を見込んでいます。おかげさまで来場者数は毎年増加傾向ですが、まずは福岡の「冬の風物詩」として定着させたいですね。
これまで、同じ都市で同じイベントが複数カ所で行われているというのは聞いたことがありません。クリスマスマーケットではそれが可能だと思いますし、福岡のいろいろなところでさまざまなクリスマスマーケットが行われているというのは、想像しただけでワクワクします。同時多発的に開催することで、「回って楽しい冬の福岡」をつくりたいですね。クリスマスマーケットが福岡の新たな観光資源になればいいなと考えています。ただ、福岡を代表する観光資源の山笠やどんたくと比べると、まだまだ「奥ゆかしさ」が足りていません。今後は、クリスマスマーケットに楽しさだけでなく、歴史から来る「意味」を持たせていきたいですね。「人を幸せにする」ことを忘れずに長く続け、定着すれば「意味」もついてくると思っています。
これまで続けられているのは、本当に多くの方々のご協力のおかげです。幸運にもたくさんの方々に応援いただき、今年もクリスマスマーケットを開催することができます。福岡市民の祭りとして、さらに認知していただくべく、これからも長く続くイベントにしていきます。
――今年も楽しみにしています。ありがとうございました。
(了)
【文・構成:永上 隼人】<プロフィール>
佐伯 岳大(さえき たけひろ)
1981年4月1日、福岡県鞍手町出身。剣道一家に生まれる。祖父や父が剣道を教えていたことから、大人に囲まれた幼少時代を送る。2007年(株)サエキジャパンを設立し、代表取締役に就任。13年「クリスマスマーケットin光の街・博多」を初開催。関連記事
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