産廃処分場を巡る裁判で見えてきた壮絶な騙し合い(2)
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福岡市博多区金隈にある産廃処分場運営の(株)和幸商会(本社:福岡市博多区、箭内伊和男代表)で起こったサニックス創業メンバー箭内氏による会社の「乗っ取り」は既報の通りだ。取材の過程で判明していたのは、同処分場の不可解な不動産取引だった。そして、今回、同不動産をめぐる裁判を通じて、処分場売却の真相が見えてきた。
取材の過程で、上述した処分禁止の仮処分に起因する裁判事件の存在が明らかになった。それが次の事件である。
原告:(株)クリーン金隈
被告:U嶋氏、他1名
事件名:土地所有権移転登記抹消登記等請求事件原告は、上掲の16年10月13日に登記された所有権移転、および17年2月13日に登記された抵当権設定の抹消を訴えた。訴状で原告は、所有権の移転はしているが、売買は存在しなかった「仮装」であるとし、通謀虚偽表示であるため、所有権はU嶋氏にはない。
そのため、抵当権設定も無効であるという内容が主張された。これを皮切りに答弁が始まった。裁判の過程で、処分場の運営権の変遷、関係者それぞれの思惑、画策が浮き彫りになってきた。そこには「自分の都合にいいように」と、我欲に走る人間像が映されていた。
経営不振で身売り画策
03年より同処分場を運営してきた和幸商会だったが、箭内氏の乗っ取りがあり、業績は悪化の一途を辿っていた。14年ごろ、資金繰りが厳しくなった和幸商会は日本メンテナンス(株)の顧問と名乗るU原氏の仲介を受けて、株式を譲渡したうえで、日本メンテナンスから資金提供を受けることになった。それでU原氏は和幸商会の取締役に就任していた。
しかし、何らかの理由で約束したはずの資金提供は実現せず、和幸商会の経営はさらに苦しくなり、15年4月にクリーン金隈に処分場を売却した。当時のクリーン金隈の代表はこのU原氏で、会社は処分場を所有するだけで、それ以外の事業は行われていなかった。
ここから登場人物が増えていく。どこかで「産廃処分場ビジネス」、つまり産廃処分業者と処分場を買い取って、オーナーになるという話を聞きつけた投資家のO氏が金融商品仲介を行っていたY氏に声をかけた。「儲かる」と判断した2人に加え、産廃事業を知るU嶋氏と3人で、和幸商会の買収話が進んでいった。
具体的には別会社の三神エンバイロメントエネルギー(株)(本社:熊本市、Y氏代表)を設立し、和幸商会とクリーン金隈の株式を譲渡させ、2社を子会社化し、経営権を握るというスキームだった。和幸商会が処分場の運営許可を持ち、クリーン金隈が処分場の土地所有権を持つという複雑な構図が出来上がった。
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(つづく)
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