2024年11月28日( 木 )

韓国人として改めて感じた、最近の日本~制度の壁とスピード感(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 筆者が日本に最初に定住したのは1981年である。その後仕事などで筆者は、日本に合計20年くらい滞在したことがあるが、今回数年ぶりに、筆者はまた東京に住む機会を得るようになった。数えてみると、個人的には日本に5回目の滞在となる。日本語には不自由しないので、私は毎月数冊の本を読むことによって、日本に対する理解を深めようと努力してきたし、日本には懇意にさせてもらっている友人も多くいる。

 つまり、私は日本に対する愛情は人一倍だし、日本が繁栄することを誰よりも願っている一人でもあるということだ。しかし、かつてあれだけ大きく見えて、韓国とは比較の対象にならなかった日本だったが、最近になって勢いが衰えているようで、筆者はやりきれない気持ちである。

 韓国は日本の隣で、昔から多くの文化交流があった。三国時代の百済は新羅に敗れて、日本に逃げたりしたほどだ。その昔は韓国経由で中国の文物が日本に伝えられたりした。ところが、李朝時代の末期に韓国は鎖国政策をとることによって、国の発展が大きな遅れを取ることになってしまった。その反面、日本は明治維新で西欧列強の文物を積極的に取り入れて消化することによって、アジア最強の国を築き上げた。歴史にはさまざまな背景があるので、その背景を抜きにして、歴史的事実だけを論じても、大きな過ちを犯しやすい。日本と韓国が選択した道は、両国の力の差として現れ、韓国に植民地時代を招いてしまった。しかし、考えてみると面白い。日本は第2次世界大戦でアメリカに原爆を落とされたにも関わらず、アメリカと日米同盟を維持し、アメリカと緊密な関係を結んでいる。日本の繁栄がどこにあるのかを良く考えた上での行動だと思う。その反面、韓国は日本から原爆を落とされたわけでもないのに、なぜかずっと日本を恨み続けている。

 話が横道にそれてしまったが、最近日本に来て感じたことを書いてみよう。最近私は日本に法人を設立する仕事を任された。日本では商法などが改定されて、現在は資本金が10円でも会社は設立できる。会社を設立しやすくして、もっと創業をさせるためであろう。それから、以前の法律では、日本に住所を持たない外国人は株式会社の代表取締役に就任できなかったが、最近その規制もなくなり、日本に住居を持たない非居住者も、株式会社の代表取締役に就任することができるようになった。

 しかし、実際はどうだろうか。日本で不動産を借りるためには厳しい審査がある。資本金のハードルをいくら低くしても、会社が設立できても、外国人名義ではオフィスが借りられない。それから、非居住者の外国人が代表取締役に就任できて、日本に会社を設立することが可能になっても、非居住者は銀行口座が開設できないため、実際は会社設立不可能なのが実情である。銀行口座を悪用して、マネーロンダリングなどに利用されることを防ぐことが目的であることが理解できても、外国人が会社を設立できないようになっている現状は、日本の経済にとってもマイナスであると私は思っている。そのような規制を回避するため、とりあえず、知り合いの日本人に代表取締役になってもらい、会社設立後、代表取締役を変更するという無駄なことをするようになった。

(つづく)

 
(後)

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