米FRBの資産縮小と韓国経済(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
米国の連邦準備理事会(FRB)は今年の10月から今までの量的緩和政策を変更し、結果的に通貨量が減少するように、米FRBの資産を縮小すると発表している。米FRBは2008年の世界金融危機以来、市場から国債と住宅担保証券を買い入れることによって、金融市場の通貨量を増やしてきた。金利を下げても、景気刺激にならないので、米FRBは利下げの代わりに、通貨量を調節することで、景気を刺激しようとしたのだ。しかし、米FRBは今年の10月から資産縮小に舵を切るだけでなく、年内に金利をあげることも検討している。実際に二つが同時に実行された場合、市場に与えるインパクトは計り知れないものがあるだろう。
資産の縮小は、当初は100億ドル規模でスタートするが、来年には年間500億ドル規模の資産縮小になるらしい。このような措置が市場にどのような影響をもたらすかは、まだ誰もはっきり予測することはできない。しかし、新興国などにはかなりのショックと市場の混乱を招く恐れもあると考えられる。今まで通貨を増やして景気を刺激するために、米FRBは資産を買い入れてきた。その結果、米FRBは2008年1月末には9,000億ドルの資産しか持っていなかったが、現在保有している米FRBの資産は4兆5,000億ドルに膨らんでいる。それで、膨らんだ資産を縮小し、バランスシートを調整するとともに、今後経済回復に伴うインフレの発生にも備えようとしているだろう。
米FRBの今回のような動きには、アメリカ経済が堅調であるという自信と、インフレに対する警戒があるのではないだろうか。世界金融危機が発生してから、世界経済は低成長を余儀なくされた。経済の専門家によると、世界経済の低成長の原因は、負債縮小に伴う需要の不足が問題であったと指摘している。ところが、世界的に負債縮小もほぼ終わりを向かえているので、世界経済は今後回復に向かうだろうとされている。今回の措置はそのような世界とアメリカ経済の回復を前提にしたものである。その具体的な証拠として、ヨーロッパも20年ぶりに各種の経済指標が改善されつつあるし、先進国だけでなく、新興国の経済にも、そのような兆しが見られているようだ。
韓国経済にも同じようなトレンドが見受けられる。半導体、ディスプレイが好調で、それが韓国経済を引っ張っていることは間違いないが、非IT部門でも数値が伸びつつあるようだ。韓国経済の第3四半期のGDP成長率は、今年の上半期に比べて1.4%の成長を記録し、前年同期対比では3.6%の成長を記録している。韓国の現在の基準金利は1.25%であるが、このような状況の中で、韓国銀行は来年の第1四半期に0.5%もしくは0.75%の利上げをするのではないかという観測が流れている。
このような利上げの動向に対して、次のような意見もあるようだ。金利が下がっても、実際その恩恵を蒙るのは、富める層だけに限られるという意見だ。信用があって金融機関からお金を借りられる人にとっては低金利が良いかもしれないが、低所得層にとっては、何のメリットもないという話だ。逆に金利が低いということで無理をして住宅を買ったりしたことで、予想に反して金利が上がることで、大きなダメージを受けることになったわけだ。金利が下がったのはよかったものの、いきなり上がることによって、多くの中産層が低所得層に転落した結果になっている。低金利は普通の人の経済感覚を狂わせ、節度のある経済生活ができないようにする側面も持っている。金利が上がると、皆負債を増やすことに慎重になるので、それが結果的に健全な経済生活に繋がることになるようだ。
(つづく)
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