【屋台問題】福岡市職員がネット監視、批判的な呟きを「誤認」と断定(3)
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「市の信頼を失墜させた」などとして、福岡市の屋台を題材にした民放のドキュメンタリー番組について抗議を行った福岡市。信頼失墜の証拠としたのは、インターネットの書き込み計108件。それら市井の声をかき集めたのは市職員である。ネット上の発言をチェックし、問題性があると判断すれば、何らかの措置をとる。中国共産党政府が行っているようなネット監視が、日本の地方自治体でも行われていた。自分にとって不都合な報道には、なりふり構わず、対抗措置に打って出る高島市政ならではの行いである。
屋台課長による印象操作
「エリナの夜明け」が一方的な内容で、事実の「誤認」を招いたとするが、悪質なのは福岡市のほう。女将と屋台課長のトラブルを印象操作で利用していたのである。選定委員による情報漏えい問題が大きくクローズアップされているなか、女将と屋台課長のトラブルを屋台営業者の「暴行事件」として引っ張り出し、「市=被害者」という印象を与えるために利用しようとした節がある。女将が起こした「暴行事件」は屋台公募の募集締め切り前。すなわち選定前のことであり、情報漏えい問題は関係ない。ところが、屋台課長は、この1件を自ら蒸し返し、記者に「暴行事件が起きていますから」「自分がケガをした話ですか」などと話していた。
市は、「暴行事件」の存在をほのめかすが詳細については語らない。「暴行事件」の四文字がひとり歩きし、あたかも「書類審査の結果に不満を持った屋台営業者が暴力をふるった」という「誤認」が生まれていた。「今回の公募がマスコミで取り沙汰されるようになってから、『前に暴行事件があった』と言い出した課長と市は恥知らずだ。求められる説明に応じず、権力を盾にした傲慢な態度をとり続けていることに、多くの屋台が怒りを覚えている」(屋台関係者)。“被害者”ぶる屋台課長に改めて怒りを覚えた屋台関係者は少なくはない。
「エリナの夜明け」のナレーションなどの内容を「一方的」とし、反論する福岡市だが、都合の良い部分だけを切り取り、都合の悪いところは隠ぺいし、さらには事実を歪曲しているのは、福岡市のほうである。BPOに提出した福岡市の申立書は、まさに、そんな内容が含まれている。当時の状況を知る屋台関係者が見れば、怒りを通り越して、あきれはててしまうのではないだろうか。
申立書に付せられた「(別紙)屋台制度について」では、「名義貸し」の屋台を「違法な存在」とし、福岡市屋台基本条例(2013年9月施行)で、14年4月1日から17年3月末までを「生活再建期間」として、「転職などで生計の途を確保するよう繰り返し、説明、指導してきました」などとしている。この記事が「一方的」にならないよう、明記しておくが、屋台営業者からは、屋台基本条例で定められた営業時間、設置、食品衛生などに関するルールを順守すれば公募審査に反映されるとの説明を市職員から受けたという主張があり、双方の説明には食い違いがある。
さらに、この別紙には、「名義貸し屋台の道路等占有許可期限は、平成29年3月31日までであることから、平成29年4月1日以降、名義貸し屋台の営業の終了を確認した後に、公募を実施することも可能でしたが」と、公募手続きを「生活再建期間中」に実施したと恩着せがましく書いている。「名義貸し屋台」が、切れ目なく営業できるように配慮したと言いたいようだが、半年前に突然、営業場所の移動を告げられた赤坂地区、祇園地区の屋台の営業者が苦しい立場に置かれたことについてはふれていない。
(つづく)
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