アビスパ福岡、自動昇格がけっぷち カギを握るのは石津大介
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長かったJ2のリーグ戦も、いよいよあと2試合。アビスパ福岡は4位(勝ち点72)につけ、自動昇格が可能な2位の座を長崎(2位、勝ち点74)と名古屋(3位、勝ち点72。得失点差で福岡を上回る)の3クラブと争う状況におかれている(1位湘南はすでに昇格が決定済み)。福岡が自動昇格するためには、2連勝したうえで長崎、名古屋が勝ち点を落とすことに期待するしかない。
長崎は今シーズン前半の低迷から、ジャパネットたかた創業者・高田明氏の社長就任を機に成績はV字回復。「台風の目」どころか、今シーズンの主役といえるポジションに躍進してきた。名古屋は「オリジナル10」(Jリーグ創設時に加盟していた10クラブ)という名門の看板、さらに豊富な資金力で、初のJ2降格ながらも圧倒的な戦力を保持。さらに夏の補強でMFガブリエル・シャビエルを獲得し、これが大成功となった。こちらも一時の低迷を脱してのし上がり、J1復帰に近づいている。
一方のアビスパは、今シーズンは「1年でのJ1復帰」を掲げてMF山瀬功治、DF岩下敬輔、FW松田力、FW石津大介(レンタルから復帰)、FWジウシーニョなど積極的な補強を進め、J2ではトップクラスの戦力をそろえることに成功した。しかし昨シーズンからの「FWウェリントン頼り」から脱することはできず、ウェリントンが欠場したり精彩を欠いたりした試合では勝ち点を取りこぼすケースが目立った。迎えた第40節、首位・湘南ベルマーレとホーム・レベスタで対戦したアビスパ福岡。この試合で勝ち点3を挙げられなければ2位浮上は絶望的となる一戦だったが、ここで値千金のゴールを挙げたのがFW石津大介だった。J1でプレイする機会を捨てて古巣福岡に戻ってきた石津が、昇格という最大のチャレンジに踏みとどまるための一撃を決めたのだ。ベンチスタートを余儀なくされることも多かったシーズン後半だが、ここぞというところで決めてくれた石津の頼もしさに、改めて敬意を表したい。
日ごろから、試合中に水分補給したボトルを投げ捨てず、きちんとフィールドに置くなど「丁寧なプレイ」を心がけているように見える石津。そこにはわずかのことでもおろそかにしない、という志が見えるようである。あと2試合。とにかく勝って、ライバルの戦況を見守るしかないアビスパにとって、おろそかにしていい時間は一瞬もなく、漫然としたプレイは一度たりとも許されない。とかく、「上手の手から水が漏る」のがシーズン最終盤。「天命を待つ」と胸を張って言えるように、人事を尽くしてほしいものである。
【深水 央】
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