飲食業を悩ますチップ制の採否~ニューヨーク・流通業視察(1)
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データ・マックスでは、11月上旬ニューヨーク視察を実施した。アメリカ最大にして商業・文化の最先端の世界都市。ニューヨーカーが「一言で表現できない」様々な顔を持ち日々変貌し続ける同市の現状をレポートする。
ニューヨークには続々と日本の飲食店が参入してくる。福岡発の一風堂やイースト(ウエストグループ)にはお客が押し寄せている。現地で活動する日系企業からも「仕事の丁寧さやホスピタリティの高さなど、飲食業は日本人の特徴を出しやすい業種」と指摘する声がある。ところが「銀座の有名店でもダメなところはダメ。ニューヨークでは全く集客できない」(関係者)といわれるほど現実は厳しく、失敗する店舗が圧倒的に多いのが実情だ。一部店舗でその理由と指摘されているのが「チップ込み」料金の採用だ。日系レストランの多くが取り入れている。金額の計算や支払い方法など日本人には悩ましい習慣だけに支払い金額にチップ込みの料金を設定してもらえると日本人にはありがたい。近年では従業員とのトラブルを避けるために日系レストラン以外でも「チップ込み」料金を採用し始めている店舗が出始めているそうだ。
ところが、ある日系レストランはこれが災いした。提供する料理の量の少なさを指摘され、「少ない料理=サービス不足なのにチップ込みにしている」というクレームがニューヨーカーに知れ渡った。日本では標準サイズと見られるがニューヨーカーには足りなかったようだ。「サービスの対価であるチップの額を店舗が決めるのはおかしい。良いサービスを受ければ20%どころか100%だって払いたいときもある」(ニューヨーク在住日本人)。チップ込みサービスを採用する店舗は少なくない。チップ込み文化のないアジアの観光客の集客を主力にして成功している店舗もあるが、飲食業が成功するには、日本流のやり方に固執せず、現地の文化を受け入れる「現地化」が求められている。
(つづく)
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